建築現場の「アレ」をスマホで効率化する「Photoruction」、プライマルキャピタルからシード資金獲得

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建設業向けの写真共有アプリ「Photoruction(フォトラクション)」を提供するCONCORE’S(以下、コンコアーズ)は12月5日、プライマルキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達した資金は1500万円で、現在テスト運用中のサービス開発強化を推進する。

Photoructionは建設現場で日々大量に撮影される「工事写真」をスマートフォンカメラで撮影し、クラウド上に管理・共有できるもの。同社代表取締役の中島貴春氏によれば、一般的なビル群で数千枚、渋谷ヒカリエのような大型建築になると15万枚という数の工事写真が撮影、管理されることになるという。

こういった記録写真は主にドッヂファイルのようなアナログ管理が今も一般的で、一部ベンダーから提供されるソフトウェアもあるものの、基本的には2001年に開始された電子納品という制度に対応する目的で作られたものが多く、いわゆる建築現場の効率化を求めたものではなかった。%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-07-8-37-43

中島氏は以前働いていた工務店で経験した建築現場でこの記録写真管理の不効率さに気がつき、Photoructionを開発するため2016年3月に運営会社となるコンコアーズを設立した。ステルス状態で半年間ほど開発とテスト運用を続け、現在は大手のゼネコンから地域特化型の工務店など70現場でのテスト利用が進んでいるという。

「建築物というのは一度建ててしまうと記録できなくなるのでとにかく大量に撮影するんです。しかも国の定めた基準があってこういう情報を撮影してください、というものが決まっているんです。ほら、工事現場で黒板を見たことありませんか?ああいうものに手書きで一個一個情報を書いて撮影し、事務所に戻ってファイルして整理しているんです。最後は紙でアウトプットするので経営資源になりづらい」(中島氏)。

なるほど、まさに発見と言えるだろう。実際のアプリは触れなかったが、紹介動画を見る限り、一般的なスマホカメラアプリが使えれば誰でも操作できそうなシンプルな構成になっていた。ITリテラシに課題のある市場の例としてはレストラン業界などがあるが、ここもスマートフォンを中心とするデバイスの変化で予約管理などのパラダイムシフトが起きている。建築現場でこれをやろうというのが彼らの挑戦なのだ。

クラウド側での共有機能もしっかりと作り込んでいる印象で、サービスを使っていない例えばクライアントのような相手に対しても写真情報を送って確認、指示を仰ぐことができるようになっている。

ひとつ気になったのが、ではこれを追加のコストを発生させて現場が使うのか?という点だ。料金設定はまだ公開されていないが、利用人数と建築規模、請負金額によって設定が変更される考え方で、中島氏によれば同サービスを活用することで一人当たりの工数が減らせるので「1日一人あたり1時間削減できればペイできる」という見当をしているということだった。

3人で開発しているというPhotoruction。非常にニッチなテーマではあるものの、伝統的な市場でありリプレイスが発生するとインパクトは大きい。20代の若い彼らがどこまでそこに食い込めるか、次の話題を待ちたい。

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