創業1年で4億円調達、医療システムとクリニックを垂直統合した「Linc’well(リンクウェル)」、DCMなどが支援

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写真左から:Linc’well取締役(共同創業者)の山本遼佑さん、代表取締役の金子和真さん

ニュースサマリ:診療クリニック向けテクノロジーと診療所「クリニックフォア」を展開するLinc’well(リンクウェル)は5月27日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはDCM Ventures、Sony Innovation Fund、インキュベイトファンドの3社で、調達した資金は総額3億5000万円。

2018年4月に実施したシードラウンドでの調達を含めた累計調達額は4億2000万円となる。出資比率や払込の日程などについての詳細は非公開。調達した資金で展開する「次世代プライマリケア・クリニック」に関するサービス開発および経営基盤の強化を図る。

Linc’wellの創業は2018年4月。AIを活用した問診システムやオンライン予約、診療に最適化した電子カルテなどの診療クリニックが必要とするオンラインサービスを開発・提供するほか、このサービスに最適化された独自の診療クリニック「クリニックフォア」を運営する。一号店舗となるクリニックフォア田町は2018年10月にオープンしており、半年間の運営で延べ2万人が利用。オンライン予約の利用は8割にのぼる。今後、同様の店舗を年内から来年に向けて都内数カ所に設置を予定している。

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話題のポイント:ついに、というか今の時代に最適化されたクリニックが登場してきました。前述の通り、オープンしてから半年で2万人利用、トラクション自体も大変よいということで早い段階での大型調達に繋がった様子です。インキュベイトファンドの案件としては、先日のピクシーダストテクノロジーズ社に続き、ジェネラルパートナーの村田祐介さんが支援しているスタートアップということもあって注目していました。

Linc’wellさんの凄さは「垂直統合型」のモデルです。

これまでも診療クリニックや病院向けの業務効率化ツールは多数存在していました。しかし、TXP Medicalさんの取材でも書いた通り、医療現場は他の業界と異なり、命に関わるケースが出てきます。また、多くの事業者が赤字体質を抱えるなど特有の事情が多数ある市場です。

<参考記事>

今回、創業されたLinc’well代表取締役の金子和真さんも元々、東京大学医学部附属病院を中心に8年間、臨床・研究を経験した後に、マッキンゼーで経営に向き合った「ハイブリッド」経験を持った人物です。TXP Medicalの園生さんも現役の医師ですが、同様に医療関連のサービスを手がけるポートで事業推進の経験をお持ちでした。

彼らのように内部事情に精通していないと難しくなるのが、作ったサービスのオンボーディングです。実際、金子さんにその点お聞きしたところ、やはり同様の感想は持っていたようで、効率化ツールを導入した結果、別の作業負担が発生するなどの非効率を問題視されていました。

そしてもうひとつ突き抜けているのが前述した「垂直統合」のモデルです。

金子さんが考える「今のクリニックのあるべき姿はこうじゃないか」という考えを投入したのがクリニックフォアの店舗戦略で、彼らが開発する次世代プライマリケア・クリニックのサービスを最大限に活用できる店舗を実際に作り、オンライン予約や電子カルテなどのサービスをクリニックに埋め込んだのです。

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サイトに一体化した予約システム。同様に電子カルテなども店舗と統合されている

これによって、年内にも新しくできる新店舗では、患者のカルテ情報を共有することができるので、もし、会社の近くに同じグループのクリニックができれば、シームレスにそこで診療を受けることができるようになります。また、働く側のお医者さんにとっても、同様の情報インフラを持ったクリニックネットワークが広がることで、ワークシェアのような考え方が導入できる可能性もある、ということでした。

理想的に見えるLinc’wellの展開ですが、唯一の懸念点は比較的大きな資本を必要とする点です。出店する場所についてもおそらく都内であれば山手線沿線など一等地が必要となりますし、利用する若い世代にしっかりと定着するブランド構築や、働くお医者さんの獲得、現在、エンジニア含めて5名という経営体制も一気に強化するとなると、やはり大きな資本投入が必要となります。

Appleは垂直統合モデルでOSとハードを一体化させた体験を提供することに成功しました。医療の現場で様々な問題が発生する中、金子さんたちが仕掛ける垂直統合の仕組みはクリニック界におけるAppleのような存在となり、待ち時間や労働環境の改善など、課題解決の一手となるのでしょうか。

次の成長が届いたらまたお伝えしたいと思います。

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