アジア女性300万人の口コミから、メイドインジャパン化粧品のサブスクD2C実現へ——深度美容液「ヒメネムリ」がアマゾン新着ランキング1位

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.7.5

右から:BuzzCommerce 創業者で CEO の若井伸介氏、オペレーションディレクターの Koy 氏
イタリア・ボローニャで開催された化粧品の国際カンファレンス「Cosmoprof」で。
Image credit: Rukawa Pharmaceuticals

今から約5年前、バンコクで活躍する一人の日本人起業家にインタビューした。タイの化粧品口コミサイト「cosmenet」運営で知られる BuzzCommerce 若井伸介氏だ。タイでスタートした BuzzCommerce はその後、インドネシア、ベトナム、中国、台湾にもメディアネットワークのリーチを伸ばし、合計で月間2,000万ページビューを超えるまでに成長した。

東南アジアにおいて日本の化粧品の認知度は高く、そういったブランドやメーカーに消費者ニーズを深掘りする機会を提供したり、新たな顧客層を開拓したりする手段として始まったのが BuzzCommerce だったが、これまでに築き上げたアジア各国の都市部に住む女性300万人の「ライフスタイルや美容嗜好データベース」を駆使し、今回自ら化粧品を作り出す賭けに出たようだ。

BuzzCommerce は先ごろ、流川製薬(るかわせいやく)というファブレス化粧品メーカー(ブランド)を立ち上げ、機能性を持った深度美容液「ヒメネムリ」を発売した。ヒメネムリには、5つ星ホテルに香るような上品な香りづけがされており、睡眠不足の解消はもとより、眠っている間の肌修復を助けてくれる効能を謳っている。6月11日の発売直後には、Amazon.co.jp の新着ランキング(化粧品原料・原液部門)で1位を獲得。当初は女性を主なターゲットに据えていたが、発売から半月ほど経って蓋を開けてみると、購買層の3割ほどが男性ビジネスパーソンであることがわかったという。

ヒメネムリ
Image credit: Rukawa Pharmaceuticals

ただ、若井氏のヒメネムリに込めた野望は日本だけで終わるわけではない。BuzzCommerce を通じて得られた知見に基づき、ヒメネムリはアジア各国の FDA 当局の基準をクリアするよう成分配合されており、〝ジャパン・ブランド〟を前面に押し出したパッケージでアジアの中間購買層を狙う。

以前のこの記事でも紹介したように、スタートアップの運営するサブスク D2C と OEM 製薬/化粧品メーカーが協業する動きは増えつつある。BuzzCommerce は自ら立ち上げた流川製薬の事例をモデルに、OEM メーカーのアジア展開を支援したいと考えているようだ。

Embassy Pitch に出たときの経験を通じて、日本のメーカーも直販する機会を持っていないと、全部、中国にやられてしまうと思った。事実、日本の(製薬・化粧品)メーカーの中には、中国のブランドに買収されるところが出てきている。(若井氏)

Image credit: Rukawa Pharmaceuticals

製薬や化粧品に限らず、ファッションの分野などでも、その高い縫製技術力を背景に世界的有名ブランドの製品を日本のメーカーが生産受託しているケースには枚挙にいとまがない。消費者への販売価格の決定権は多くの場合ブランドが持ち、メーカーはブランドの指示の元、高品質ながら薄利でのビジネスを強いられることになる。若井氏は、日本の製薬・化粧品メーカーらを巻き込み、購買力のあるアジアに積極的に出ることで、日本のメーカーにも力をつけてほしい、と考えているようだ。

流川製薬は BuzzCommerce の100%子会社で、今後、ヒメネムリに続く〝ジャパン・ブランド〟が際立つ高品質・機能性化粧品などを開発していく。開発や生産体制の拡大に向け、BuzzCommerce は今後資金調達を行う方針だ。BuzzCommerce は2014年5月、 East Ventures からシードラウンドで資金調達を実施している。

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