Google と Apple が、デジタルマッピング(マップ制作)の分野にいかに大きな影を投げかけているかを考えれば、両社がこの市場の首尾を象徴しているかのように見えても仕方がないだろう。しかし、自動運転車やスマートシティといった広範囲に及ぶサービスに対する需要により、マッピング分野に技術革新の限界を押し広げる新世代の競合企業が生み出されている。 最大手の Google と Apple が利用する…
An image from Mapillary Vistas Dataset, a pixel-accurate annotated street-level imagery dataset for autonomous mobility and transport. Image Credit: Mapillary
Google と Apple が、デジタルマッピング(マップ制作)の分野にいかに大きな影を投げかけているかを考えれば、両社がこの市場の首尾を象徴しているかのように見えても仕方がないだろう。しかし、自動運転車やスマートシティといった広範囲に及ぶサービスに対する需要により、マッピング分野に技術革新の限界を押し広げる新世代の競合企業が生み出されている。
最大手の Google と Apple が利用する、衛星画像と路上を走り回る車両を組み合わせるという基本的なマッピング手法は、e コマース、ドローン、その他様々な形のモビリティ分野における移り変わりの激しいビジネスニーズに対応するには、時代遅れでスピードに欠けつつある。こういったサービスには多くの場合、リアルタイムでのアップデートやはるかに豊富なデータを必要とするような、非常に特殊なニーズがある。
こういった課題に対応するため、新しいマッピング会社は、様々な技術の中でもとりわけ人工知能やクラウドソーシングを活用し、はるかに複雑なジオデータを提供しようとしている。グローバルなマッピング市場の触媒となっているのが、このような増加しつつある多様性や競争だ。Grand View Research によると、このような背景を持つ同市場の成長率は年間11%を超え、2025年までに87億6,000万米ドル規模にまで拡大すると予想されている。
2005年にローンチされた Google Maps は当時革命を引き起こした。埋め込み可能な順応性のあるマッピングサービスは、当時の最大手 Mapquest にあっという間に取って代わった。Mapquest は、道順を提供するスタティックマップで早期から他社に先行していた。2012年に Apple が Google との関係を解消して独自にマップ制作に乗り出した。同社のマップは当初大失敗と見なされたが、その後次第に性能が良くなっていった。
両社いずれのモデルにしても、問題は両社を取り巻く世界のスピードが、この両大手企業の進化よりも早いということだ。現に Wall Street Journal は6月第5週、Google Maps の虚偽のビジネスリスティングが推定1,100万件にのぼると報告しており、同マップの信頼性に大きな打撃を与えた。これに対し Google は、昨年、虚偽リスティングを300万件削除し今後も努力を重ねていくとしながら、偽のリスティングはビジネス要覧の出版が始まったほぼ当初から存在していたと主張している。
その一方で、マップのユースケースは爆発的に増え続けている。都市はスマートパーキングに注目するようになり、プランナーはインフラ上の決定を下すのにマッピングデータに頼るようになり、デリバリーサービスはより詳細な最新情報を必要としている。他にも様々なビジネスが、ジオターゲティングをマーケティングや e コマースで活用している。そしてもちろん、自動運転車やコネクテッド車は高性能のマッピング情報を必要としている。
Solem 氏は、顔認識技術の開発を手がけた同氏の以前のスタートアップを Apple が買収した後、2013年に Mapillary を設立した。同社は、人々が所有する膨大な数のモバイルデバイスを活用する。こういったデバイスが提供する画像やジオデータは、ますます精度を上げている。ユーザが Mapillary アプリ経由でアップロードする情報で、豊富な情報を含む巨大なデータベースが作成される。
Google の Waze も公共輸送業者との連携を強めており、公共計画立案のためにデータを共有している。同社は最近ロンドン市と共に Smart Routing プログラムを拡大しており、排出量削減に伴いより厳しくなった新規制をドライバーが守りやすくすることで、汚染の低減を後押しする。
一方で、サンフランシスコに拠点を置く Streetlight Data は、膨大な数の位置情報サービス(LBS)、GPS、携帯データポイントからデータを集め、都市計画事業者を支援する。データは様々な官民情報源から集められている。携帯電話データ、カーナビゲーションデータ、商用トラックナビゲーションシステム、および様々なモビリティ企業とのパートナーシップなどだ。その結果できたのが車、自転車、歩行者の移動パターンに関する有用情報を提供するプラットフォームだ。
Streetlight でマーケティング・商品管理部門のバイスプレジデントを務める Martin Morzynski 氏は次のように述べた。
提供されるサービスの1つである Open Mobility Marketplace は、地域で運営される全てのモビリティサービスのハブを作るために設計されたソフトウェアだ。全モビリティサービスの運営を一元化し統一することで、同プラットフォームを利用する全ての企業により広範な市場を提供できると Here Mobility は確信している。その一方で、各都市はよりうまくサービスをモニターおよび管理できるため、混乱を巻き起こさず効率性を高めることができる。
DroneDeploy の CEO を務める Mike Winn 氏によると、フライトプラン作成やデータ分析にかかる時間を考えると、今のところドローンサービスでもっとも高くつくのは人件費であることが多いという。しかし、AI や徐々に増えるマッピングデータにより、人間への依存は減っていくだろうと同氏は語る。
AirMap は部分的に、マッピング技術と、ドローン使用にまつわる公的規制に関して作成した非常に高度なデータベースを融合させることで機能する。同社 CEO を務める David Hose 氏によると、こういった規制は非常に複雑かつ特殊な場合があるという。例えば、ドローンと学校との距離制限がある場合、ドローンのオペレーターは、ドローンが飛行する地域の全ての学校の位置を把握しなくてはならない。
Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。 インドのホスピタリティチェーン Oyo Hotels and Homes は、中国でのプレゼンス向上を目指してサービスのホストで中国のeコマースプラットフォーム「Meituan Di…
Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。
Image credit: Oyo
インドのホスピタリティチェーン Oyo Hotels and Homes は、中国でのプレゼンス向上を目指してサービスのホストで中国のeコマースプラットフォーム「Meituan Dianping(美団点評)」と提携した。
Presso は、自動販売機型またはキオスク型のドライクリーニングマシンだ。急いでいる時などに Y シャツをセットすると、5分間で洗浄、汗や臭いやバクテリアの除去・分解、スチーム、プレスなどを完了する。ビジネス旅行者などは、ホテルでクリーニングに出すと出来上がりが数日後になるので依頼を躊躇してしまいがちだが、Presso なら数分間で出来上がるので需要にマッチすると考えた。
エコノミー型のビジネスホテル、空港、オフィスビルなどへの設置などを想定しており、昨年には、Hampton by Hilton Hotels や Courtyard by Marriott などで6件のパイロット実験を完了済。今年は複数の LOI(契約締結)を目指す。これまでに、Y Startup School、HAX、SOSV などからシード資金を調達している。
香港 RISE も2日目。何回目からかは忘れたが、ここ数年で定番化した人気コンテンツの一つに「中国インターネットレポート」がある。このレポートは、香港の地元紙 South China Morning Post とその姉妹サイトである Abacus と、以前は 500 Startups のパートナーで、今春ブロックチェーン特化 VC の Proof of Capital を立ち上げた Edith Yeung 氏らが毎年更新している。
AI ソリューションプロバイダの AnyMind Group は11日、プロサッカー選手の本田圭佑氏と YouTube をはじめとする SNS 上での活動におけるサポート契約を締結し、本田氏の公式 YouTube チャンネル「Keisuke Honda」を開設したと発表した。これと合わせて、AnyMind Group は本田氏の個人ファンド KSK Angel Fund から資金調達し、本田氏が …
左から:本田圭佑氏と、AnyMind Group CEO の⼗河宏輔氏 image credit: AnyMind Group
AI ソリューションプロバイダの AnyMind Group は11日、プロサッカー選手の本田圭佑氏と YouTube をはじめとする SNS 上での活動におけるサポート契約を締結し、本田氏の公式 YouTube チャンネル「Keisuke Honda」を開設したと発表した。これと合わせて、AnyMind Group は本田氏の個人ファンド KSK Angel Fund から資金調達し、本田氏が AnyMind Group のアドバイザーに就任したことも明らかにした。調達金額は明らかになっていない。
AnyMind Group では、特に同社傘下のインフルエンサーマネジメント事業 CastingAsia を通じて、本田氏と協業を図りたいとしている。同社は今年3月、タイの MCN(マルチチャンネルネットワーク)大手 Moindy Digital を買収し、CastingAsia のビジネスポートフォリオへの統合を明らかにしている。本田氏がカンボジア代表サッカーチームの監督を担っていることはよく知られているが、東南アジアのファンへのメッセージ発信などにも、AnyMind Group と本田氏の関係は有効に機能する可能性がある。
本田氏の公式 YouTube チャンネル「Keisuke Honda」 Image credit: AnyMind Group / YouTube
AnyMind Group は、マイクロアドの東南アジア各国の現地法人 CEO を務めた⼗河宏輔(そごう・こうすけ)氏と、マイクロアドのベトナム現地法人の COO を務めた⼩堤⾳彦(こづつみ・おとひこ)氏らにより2016年に設立(当時、AdAsia Holdings)。これまでに、シードラウンド、シリーズ A ラウンド、シリーズ B ラウンドを通じて、3,590万米ドル(40億円超)を調達している。現在、東南アジアの11市場13拠点に展開しており、20国籍500人以上の社員が勤務している。
THE BRIDGE の取材に対し、十河氏は、既存の MCN との差別化として、インフルエンサーだけでなく、アスリートやセレブリティの YouTube 上でのコンテンツ配信を支援したいと答えており、本田氏の公式 YouTube チャンネル開設支援は、その第一弾という位置付けのようだ。一方、本田氏はこれまでに Makuake、HRBrain、ecbo、FiNANCiE、Homii などに KSK Angel Fund を通じて出資しているほか、Drone Fund、DEEPCORE、ウィル・スミス氏と協業する Dreamers Fund といったファンドにも出資している。