25年度ARR100億円へーーLayerXが55億円調達、達成の鍵は「AI体験」(1)

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ニュースサマリー:支出管理「バクラク」を提供するLayerXは2月28日、三井物産をリード投資家とするシリーズAラウンドの資金調達を公表した。ファーストクローズで調達した資金は約55億円。第三者割当増資を引き受けたのはANRI、ALL STAR SAAS FUND、GMO VenturePartners、ジャフコ、スパイラルキャピタル、Dawn Capital、三菱地所、三菱UFJキャピタル、Z Venture Capital。併せて三井物産の山本忠太則氏が社外取締役に就任することも公表している。

2020年に実施した前回ラウンドの投資家はジャフコ、 ANRI、YJキャピタルの3社で、LayerXが外部資金を受け入れるのは2019年8月に実施したMBO以来2回目。

2021年に公開した支出管理バクラクシリーズ(当時のサービス名はLayerX Invoice)が好調で、現在、導入企業は3,000社を越える。受け取った請求書や経費レシートの情報をAI-OCR技術でより高速かつスムーズにデータ化・処理することに成功した。また、昨年7月には法人向けビジネスカードの領域にも参入し、企業の支出に関する業務を一貫してサポートできるようにした。今後はクレジットカード利用明細と証憑ファイルの自動紐付けなども実装する。

調達した資金は新たなプロダクトも含めたバクラク事業の開発やセールス、マーケティングなどの分野に投じられる。

話題のポイント:LayerXが新たな資金調達を公表しました。代表の福島良典さんは先日、自身のブログでコンパウンドスタートアップという考え方を披露されています。国内スタートアップと海外の比較でよく話題に上がるのが市場の違いです。日本語圏内とその他言語圏では単純に人口が違うため、単一事業で究極にまでスケールを狙う海外方式をそのまま日本に当てはめた場合、どうしても数値に見劣りが出ます。

ソフトバンクや楽天、GMOインターネットにサイバーエージェントなど、先行するテック企業は全て複数事業を立ててコングロマリット化しているものがほとんどです。事業成長を考えた場合、祖業をオーガニックに成長させるだけでは高い成長率を維持するのは難しい、というアレです。

ただ、リソースが少ないスタートアップが創業からあれもこれも手を出すのは悪手とされてきた中、福島さんたちは敢えてその定説に挑戦しよう、というわけです。実際、LayerXはこれまでにいくつもの事業を手掛け、現在も大きくはアセットマネジメント、SaaS、プライバシーテックと3事業を展開していますし、SaaSの柱となったバクラクについても早くも複数サービス・機能によるクロス・アップセルが始まっているようです。

これらを背景に福島さんたちは2026年度としていたARR(Annual Recurring Revenue/年次経常収益)100億円の達成を1年前倒しして計画しているとお話されていました。本稿では福島さんにインタビューを実施しましたので、後半でこのコンパウンドスタートアップの考え方や今後の計画、さらに福島さんが学生時代から取り組んでいたディープラーニングの活用や現在の活況などについてお聞きしました。

後半につづく;福島氏が語るバクラク躍進のワケーーLayerXが55億円調達、達成の鍵は「AI体験」(2)

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