世界各国から新進気鋭スタートアップが参加したTechsauceのピッチコンペティション、ベトナムの医薬品流通を効率化するMedlinkが優勝

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6月19日〜20日、バンコクで開催された Techsauce Global Summit のピッチコンペティションで、製薬会社と薬局を直接つなぐプラットフォーム、ベトナムの Medlink が優勝した。

世界中から集まった各国代表チームがバンコクに集結。予決勝にはファイナリスト10チームが登壇した。本稿ではその10チームを紹介する。

このコンペティションでは審査員を勤めたのは、

  • Marvin Liao 氏 – Partner, 500 Startups
  • Joyce Ng 氏 – Managing Director, OurCrowd
  • Michael Lints 氏 – Partner, Golden Gate Ventures
  • Nichapat Ark 氏 – Thailand Coverage, Openspace Ventures
  • William Bao Bean 氏 – General Partner, SOSV

…の5人の皆さん。問題点の発見とソリューション解決・プロダクトマーケットフィット・エグゼキューションなどを基準に評価、1チームあたり、3分間のピッチと5分間の Q&A で構成された。

【優勝】Medlink by CLMV(ベトナム)

副賞:Techsauce から賞金100万バーツ、SOSV から12万米ドルの投資を受けられる権利

ベトナムの医薬品業界は、数百社以上ある製薬会社と、10万軒以上ある独立経営の薬局からなる断片化市場。Medlink は、SaaS で両者を直接つなぎ、製薬会社の流通コストを削減し、薬局の販売効率を高める。

ローンチからの6ヶ月で取引件数は20万件を突破、取引額は100万米ドルを突破した。薬局に費用は発生せず、製薬会社が年間15,000米ドルと取引額の2%を手数料として支払う。

Massimo by Dipp(台湾)

Massimo は、ソーシャルメディア広告やアドプラットフォーム向けに、広告のデザインを自動作成するプラットフォームだ。データ・ドリブンなアプローチで、デザイン作成、テスト運用、デザイン最適化のサイクルを高速で回すことが可能。

広告コンテンツ作成コストを従来の3分の1にまで下げ、対象視聴者へのリーチを従来の90%の予算で実現する。

Memori(ブルネイ)

Memori は、遺言作成、保険・葬式契約の管理、棺桶の購入、ソーシャルメディアや E メールパスワードを一括管理ができるブロックチェーンベースのプラットフォーム。

ユーザが生前に情報登録することで、他界後に遺族が故人の契約情報を把握できなかったり、解約できなかったりする不便を解消する。CEO の実家は10年以上にわたり葬式事業を経営。アジアの弁護士ネットワークと提携済。

MapIt4Me by WhatElse(インド)

MapIt4Me は、MA、CRM、SFA、請求システム、メッセージングシステムなど、組織が利用する多くの BI アプリを連携、それらアプリ間で連絡先を共有し、検索やタスク実行などを自動化するソリューション。

アプリ間で情報を再入力する手間を無くし、必要となる時間の5%を削減する。チリ政府のインキュベーションプログラム「Startup Chile」に参加。GDPR 準拠で世界展開を狙う。

erxes(モンゴル)

erxes は、マーケティング、営業、カスタマサービスなど複数機能を一元化したプラットフォーム。機能毎に複数の異ツールを使っている環境をリプレイスし、機能間連携の強化・業務の効率化・コスト圧縮を実現する。

ローンチ7ヶ月で60カ国以上から100万ダウンロードを突破、アクティブユーザは3,000人。ソースコードはオープンソース開放し、エンタープライズ向け SaaS でマネタイズする計画だ。

HomeCrowd(マレーシア)

HomeCrowd は、住宅ローンに特化した P2P ゆうしプラットフォームだ。従来の金融システムで十分な信用スコアを持たないミレニアム世代がターゲット。

ミレニアム世代の特徴として、副収入を持つケースは東南アジアでも増えつつあるが、合計金額が十分であっても副収入は見える化されにくく、金融機関は信用審査しづらい。HomeCrowd が信用審査し、お金を貸したい人とをつなぐ。

ZWIZ.ai(タイ)

ZWIZ.ai は、ビジネス向けの AI チャットボットプラットフォームだ。24時間365日カスタマサポートが求められるオンラインサービスに、迅速で高品質な回答環境を提供する。DTAC の2018年アクセラレータプログラムから輩出。

タイ国内だけで200万以上あるとされるオンラインビジネスを中心に、DTAC や LINE などとの提携関係を通じて、年内に1万軒の企業ユーザ獲得を目指す。

Ingrum ID(パキスタン)

Ingrum は、複数のソーシャルメディア横断でプロファイルを転送・共有できるアプリ。ソーシャルメディアのアイコンをクリックするか、自動同期機能をオンにすることで、異なるプラットフォーム横断で互いにつながることができる。

電話番号や名刺交換した際に得た情報を元に、わざわざソーシャルメディア毎にフレンドリクエストする手間を減らす。ローンチから7ヶ月でユーザを80万人獲得。

Divao(香港)

Divao はオンラインサービス向けに認証サービスを提供する eKYC プラットフォーム。ユーザは ID カードと自分の顔を自撮りし、Divao が本人認証し認証情報をサービスプロバイダに転送する。

プロバイダ各社は認証対応のためのコストとリスクを削減できる。現在、香港のサービスプロバイダに特化して提供。共に SOSV 傘下アクセラレータの MOX と Chinaaccelerator から輩出。

Jungle(フィリピン)

Jungle は Unbanked な(銀行口座を持たない)人が多い東南アジアを対象に、クレジットカード無し小売店で月額割賦払いを可能にするプラットフォーム。

ユーザからは利用代金の3.5%を手数料として徴収し、一方で、原資となる資金の提供者にはそうして得られた収入の半分を還元。現在、銀行との提携を進めており、今年第4四半期には MVP をローンチ、来年には保険会社と提携予定。

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