リリース二周年を迎えた音楽アプリ「nana」は、新たな音楽体験の創造とネットスタンダードな楽器作りを目指す

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音楽投稿アプリ「nana」が、2014年8月23日、サービスリリース2周年を記念したイベントを南青山Future SEVENにて開催した。会場には10代を若者を中心にnanaユーザが駆けつけ、半日開催したイベントでは来場者数が230名にのぼった。

nanaは今年の1月にもユーザ参加型音楽フェス「nanaフェス vol.1 feat. JOYSOUND」を開催しており、同日10代の若年層を中心に120名のユーザが足を運んでいた。当日は会場の様子をツイキャスでライブ配信し、4時間半に渡る配信では合計1万人を超える人々が視聴した。今回のイベントでもユーザがステージで歌う様子を生配信し、ツイキャスの視聴者数は15,000名以上となった。

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単純に来場者数やツイキャスの視聴者数の数字を見るだけでも、nanaというサービスの人気が高まっていることがわかる。本誌では今年の6月にnanaに投稿された曲の再生回数が5000万に到達し、投稿コンテンツが150万件近くとなっていることを報じた。今も数字は堅調に伸びており、最近では1日の投稿コンテンツが1万を越えているという。

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音楽の楽しみ方を編み出すユーザたち

2周年イベントの会場は開場前から多くの人が詰めかけ、列を作っていた。会場に入ってみると、ユーザ同士が交流を行っており、スマートフォンアプリのイベントでありながら、オフラインでも交流が盛んに行われていることが印象的だった。

昼間に開催されたイベントでは、抽選にあたったユーザがステージ上で歌を歌い、それをツイキャスで生配信していた。ステージに上るユーザが自己紹介をすると会場にいる人々も、アカウント名でそのユーザが誰だかわかる状態。

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アプリ上で知り合ってた人たちが、実際に集い、人気ユーザが歌っている様子をツイキャスで流すことで会場に来られなかったユーザも音楽を楽しむことができるようになっていた。

どうやらオンラインか、オフラインかはnanaのユーザにとってはあまり関係がない様子だった。オフラインとオンラインをシームレスに音楽を楽しみ、そしてnanaというコミュニティを楽しんでいる様子が感じられた。

年代を強く意識する

nana代表の文原明臣氏は、ユーザが多い10代という年代を意識しているという。

文原氏「nanaのコアユーザは10代の女子となっています。私達は年代を強く意識するようにしています。なぜなら、いつの時代も文化を作るのは10代という一番多感なときを過ごす若者だからです。90年代も、10代の人たちが音楽を聴き、文化を作り出しました。

多くの人がのめり込むように聴いた曲があり、この時代に10代だった人たちは大人になってもそのころのことを思い出せる。ですが、今は少し音楽にのめり込むことが難しくなっているように感じます。私達はnanaを10代という年代のためのサービスにし、人々が10代のうちに音楽にのめり込めるようにしていきたい、新しい音楽の文化を作り出していきたいと考えています。」

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2年間サービスを提供してきて、nanaは「カラオケアプリ」という表現を、今後使用しないことを決めたという。

文原氏「nanaは誰かとコラボしながら歌うもの。一人で歌うものでもありませんし、キーを調整して歌うものでもありません。ですが、カラオケアプリと表現することで、nanaの体験をカラオケに近いものだと想像して始めるユーザもいることがわかりました。そうすると想像と実際の体験にギャップがあり、定着率が悪くなってしまう。

私達はnanaというサービスをわかりやすく伝えようと「カラオケ」という表現をしていましたが、このことが逆に体験を下げていたことがわかりました。どのようなサービスかを言葉で表現することはまだ難しいのですが、今後は、イベントなどでこの感覚的楽しさを伝える予定です。継続的に自分たちのメッセージを打ち出していくことで、サービスのことを伝えていけたら。」

”世界と歌う”イベントを開催

そんなnanaが仕掛けるイベントのひとつが本日からスタートする「We Are The World」を世界中から歌いつなげるバーチャル合唱イベントだ。故マイケル・ジャクソンの誕生日となる8月29日からスタートとなるこのイベントは、世界中のユーザがnanaを使って「We Are The World」を歌い、伴奏する。

Jackson Family Foundation Japan (JFFJ)が主催するこのイベントで、nanaはバーシャル合唱ムーブメントを起こそうと考えている。文原氏がサービスのリリース前から語ってきた「世界と歌う」というコンセプトに、また一歩近づく取り組みだ。

ネットスタンダードな楽器作り

nanaは海外でもタイ、アメリカ、ベトナム、トルコ、ロシアなどでアプリのダウンロードがあり、日本と文化的に親和性の高いエリアへの進出を考えているという。さらに、nanaは来月にはAndroidアプリの公式版リリースを控えており、Android版がリリースされれば、さらに多くの人々にnanaのコミュニティに参加してもらうことができる。

文原氏「最近、気づいたことは私達はネットスタンダードな楽器を作っているだな、ということ。音楽の扱い方は楽器とともに変化してきました。楽器が増えることで、音楽の幅は増えていった、ボーカロイドという”楽器”が登場したことによって、新たな音楽の楽しみ方が生まれたように。

ですが、まだネットスタンダードな楽器はありません。nanaはスマホをマイクに変える鍵だと考えるようになりました。今後は、アプリだけにとどまらない、楽器と手法づくりに注力していきたいと考えています。そのためには、ハードウェアも十分対応検討範囲です。」

と文原氏は今後の展望について語ってくれた。伺った話の中には今回はまだオープンにできない話もあった。新しい音楽、新しい楽器を作ろうとしている彼らの活躍に期待したい。

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