地方からチャレンジする企業を応援するために。横浜市がクラウドファンディング事業者と提携した理由

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神奈川県横浜市が、横浜市内の企業がクラウドファンディングで資金調達しやすくするための協定をクラウドファンディング事業者と締結した、と発表した

提携したクラウドファンディング事業者は、購入型としてサイバーエージェント・クラウドファンディングのMAKUAKE、融資型で日本クラウド証券のクラウドバンク、横浜ローカルなクラウドファンディングとして、関内イノベーションイニシアティブが運営するFAAVO 横浜らが、それぞれ協定を結んだ。

この協定は、今年3月に横浜市が策定した「成長分野育成ビジョン」における「チャレンジする企業の資金調達支援戦略」の取り組みの一環で、神奈川県横浜市内にクラウドファンディングを利用しやすい環境を構築することで、横浜市内の企業の新たなチャレンジを積極的に支援していくということが狙いだ。そのなかで、既にクラウドファンディング運営事業者としての実績を持ち、社会貢献ではなく、ビジネスでの資金調達実績の多い取組を進めている事業者と連携することを進めた。市内の企業がそれぞれの目的にあった利用ができるよう、異なった分野の事業者と提携し、調達先の多様性を担保している。

今回の取り組みは、横浜市は、もともと独自の仕組みを研究していて、その研究の一環でクラウドファンディングに関する調査に協力したことがきっかけでした。内閣府などが進める地域活性化のためのクラウドファンディング活用として、すでにミュージックセキュリティーズが取り組んでいる中で、独自に事業者を選定するあたりに横浜市の「我が道を行く」姿勢が明確であり、横並びやリスクを取らない役所が多い中で、その独自性や革新性は突出しているという印象です

そう語るのは、日本クラウド証券代表取締役の大前和徳氏。今後の具体的な取り組みとして、横浜市に特化したファンドの組成などを通じて、地元企業への資金調達を活発化していくとのこと。クラウドファンディングに関連するセミナーなどを通じて、認知向上も図っていく。

「今後は、地方活性化を進める行政組織(自治体、政府系組織等)と連携や、地方の金融機関(地銀、信金、政府系金融機関)との連携、地方の起業(企業)支援組織との連携などを進めていきたいと考えています。今後、横浜以外にも追従する自治体が出てくることを期待していきたいです」

以前、大前氏に寄稿していただいたクラウドファンディングの今後の可能性として、地方企業や地域を活性化する取り組みとクラウドファンディングとの相性のポテンシャルについてまとめたもらった。ネットが浸透してきた時代において、また、世代交代などによって新しいチャレンジをする抵抗感の少ない地方にいる若い世代の人たちが、独自の情報発信やネットワークなどによって新しい取り組みを始めやすくなったなどの土壌がでてきている。

大阪や京都、福岡などのスタートアップが集まっている都市だけでなく、今後はさまざまな都市においても、行政と民間企業との垣根が低くなっており、今回のような新しい動きが生まれてくるだろう。さらに、行政自身も地方における起業の動き、起業をアシストする仕組みづくりにおけるノベーションを起こし始めている。行政と民間企業がタッグを組み、新しい動きを促進する一つの事例となるだろう。

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