
モバイルがコンテンツに与えた影響でもっとも注目されるのが動画の視聴スタイルの変化だ。
YouTubeやニコニコ動画のようなオンデマンドコンテンツからツイキャスのようなライブストリーミングなど、ややテレビ・ワンセグ視聴の延長上にあったものが、スマートフォン・シフトとソーシャルメディア・トラフィックへの移行が進んでから、その流れはよりユーザーの属性や視聴スタイルに細かく最適化された分散化へと新たな広がりを見せている。
この中で特に面白いのがタテ型動画だ。従来のテレビ的な16:9といった横比率ではなく、スマートフォンおよびタイムラインでの視聴に適したサイズになっており、YouTubeやFacebookといった各種プラットフォームも順次対応を進めている。

また、国内でいち早くタテ型動画に特化したメディア展開を始めたC Channelもその月間動画再生回数を順調に伸ばし、このネイル動画は単体で1200万回再生を突破(今日時点)するなど、ユーザーの反応も確実についてきているようだ。
こういったユーザーの盛り上がりをビジネスサイドも黙って見ているわけではない。動画マーケティングの制作支援サービスを提供するLOCUS(ローカス)は3月25日、 テンプレート型の動画制作サービス「FastVideo」がタテ型動画に対応したことを発表している。
FastVideoは動画コンテンツをテンプレートによって制作しやすくしたソリューションで、3ステップほどでオリジナルの動画を作成できる。主に企業が自社でマーケティング用の動画素材を作成できるようになっており、同社代表取締役の瀧良太氏によれば2015年11月の公開後、大手の企業利用が進んでいるということだった。
「現在、旅行代理店の地域・オプショナルツアー紹介やグルメメディアの動画コンテンツ、百貨店のデジタルサイネージ、動画広告の運用ツールなど20社以上で導入が進み、様々なシーンで活用されています」(瀧氏)。

また、タテ型動画については企業側からの要望で追加が決まったそうで、先行して実施したトライアルでは滞在時間やCVRといった指標が伸びる傾向にあったという。瀧氏の説明ではファッション関連やコマース分野においてそのリクエストが強かったというのも企業による動画活用がどこに向かっているか知る上で参考になる。
国内もFacebookやTwitterだけでなくInstagramやC Channel、中高生向けのMixChannelなどのメディア、オープンエイトやFIVEといった動画広告プラットフォームなどの役者が揃いつつある状況になった。スマホ・動画の流れはここ数年ずっと来ると言われ続けてきているが、いよいよ各社本格的に取り組みだすタイミングになったのかもしれない。
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