フィリピンに本社を置くフィンテックスタートアップの First Circle は、Accion Venture Lab と Deep Blue VC から130万米ドルを調達した。
昨年10月の500 Startups、IMJ Investment Partners、Key Capital による調達額120万米ドルを上回る額で、これにより、シードラウンドでの調達総額は250万米ドルに達した。また、First Circle は借入による資金調達も行っている(調達額は非公開)。
同スタートアップは、ソーシャルメディア、e コマース、銀行などの複数のデータソースを考慮した独自の信用評価プロセスに基づいて中小企業に融資を行っている。評価に要する期間はわずか24時間で、その後すぐに資金を手にすることができる。
CEO の Patrick Lynch 氏によれば、中小企業の成長を妨げる原因の多くは、適切な時期になってもキャッシュにアクセスする手段を持っていないことにあるという。お役所仕事的な方式ではなく、ふさわしいビジネスにきちんと融資が提供されれば売上や利益は飛躍的に伸びる可能性がある。
First Circle は1年ほど前にプラットフォームをローンチして以来、約500件の融資を提供しているという。融資の平均規模は1万米ドルで融資期間は通常3か月だ。
フィリピンにおいて融資による中小企業支援が秘める可能性は非常に大きい。 Deloitte と Visa が共同で作成したレポート(PDF)によれば、中小企業は国内総生産(GDP)の35%を占め、雇用の65%を担っているという。しかし、金融へのアクセスの面ではフィリピンの中小企業は近隣諸国に比べて一段と厳しい状態にある。
リスクに対して責任を負う
e コマース企業は売上などの情報の透明性が高くリスクアセスメントが容易なため、First Circle はそうした企業との契約を得意としており、Lazada などの主要な e コマースサイトと提携している。もちろん e コマース以外の企業も融資の対象だ。
First Circle は自身のバランスシートから融資を行っている。
この点において、インドネシアなどの東南アジア諸国で急成長している多くのピアツーピア型(P2P)融資プラットフォームとは異なる。
これらのプラットフォームでは、プラットフォーム所有者ではなくサードパーティ投資家が融資を提供するというのが一般的なオンライン融資の形式だ。
Patrick 氏にとってその違いこそが重要なのだという。長期的な持続可能性を手に入れるためには、債務不履行のリスクに自ら責任を負う必要があると彼は考えている。
その意味では、First Circle は P2P 融資スタートアップよりも銀行のような伝統的な貸し手と似ている。
「貸し手はリスクを管理することで利益を得ます」と彼は言う。
Patrick 氏は Morgan Stanley、他の共同設立者は Goldman Sachs、McKinsey、Amazon で働いていた経験があり、チームは金融と運営業務における豊富な経験を活かしている。
金融商品の比較サイトを運営している Compare Asia Group に勤めていたとき、Patrick 氏はまず香港、その次はフィリピンに転勤した。だが、そこでの在籍期間はわずか1年だった。中小企業向け融資のチャンスを活かして、自ら起業する決断をしたのだ。
今のところ同社はフィリピンに重点を置いているが、将来的には他の東南アジア諸国への拡大もありうる。
Accion Venture Labs は、マイクロファイナンスおよび金融関連業務で50年以上の歴史を持つグローバルな非営利団体 Accion の投資部門。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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