
Image credit: BoostIO
プログラマーの業務効率化を図るノートアプリの「Boostnote」、バグ修正依頼のコミュニティプラットフォーム「IssueHunt」を運営する BoostIO は、シリーズ A ラウンドで総額1億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、以下の2つのファンドと個人投資家9名。ANRI は前回シードラウンドに続くフォローオン。
- ANRI
- NOW
- 福島良典氏(Gunosy 元 CEO、LayerX CEO)
- 松本勇気氏(Gunosy 元 CTO、DMM.com CTO)
- 海野弘成氏(Increments 代表取締役)
- 中川綾太郎氏(ペロリ 元代表取締役)
- 古川健介氏(nanapi 共同創業者、Supership 元取締役)
- 木下慶氏(メルカリ プロジェクトマネージャー)
- 加藤將倫氏(Progate 代表取締役)
- 落合渉悟氏(CryptoeconomicsLab 共同創業者)
- および非公開1名
今回の調達を受けて、同社では IssueHunt の機能追加や改善、オープンソースを軸としたコミュニティベースでのソフトウェア発展の啓蒙活動に注力するとしている。
IssueHunt は、オープンソース開発者が、自身が管理している GitHub 上のレポジトリを IssueHunt 上にインポートでき、バグ報告(イシュー)を上げて、他ユーザにバグ修正を依頼できるプラットフォームだ。バグ修正してくれたユーザ(コントリビュータ)には、その労力に感謝して報酬の設定や投げ銭(ドネーション)もできるしくみ。BoostIO 自身のプロジェクトである Boostnote も、現在では IssueHunt 上で機能改善・バグ修正などのメンテナンスがなされる一プロジェクトいう位置付けだ。

Image credit: BoostIO
6月にローンチした IssueHunt はこの数ヶ月で順調に成長し、海外ユーザは92%、世界150カ国からアクセスを集める人気サービスとなった(人数は明らかにされていない)。同社の先行サービスである Bootnote の87%(2018年6月現在)、Boostlog の97%(同)と比べても、圧倒的に日本国外からのアクセスが多い。中には、 Alibaba(阿里巴巴)の金融子会社 Ant Financial(螞蟻金融)の UX 部門が開発するミドルウェア向けデザイン言語「ant-design」のようなプロジェクトも IssueHunt 上で扱われている。
BoostIO 代表の横溝一将氏は、BoostIO で今までとは異なるソフトウェアデベロッパの働き方を実現したいようだ。IssueHunt を使えば、デベロッパは特定の企業に属さなくても生計を立てていける可能性が高まる。他方、ソフトウェアハウスやシステムインテグレータも、社内に(もちろん、リモートワークでも構わないが)最低限のコミッタが居れば、デベロッパを社内に抱えなくてもソフトウェアのメンテナンスが可能になる。実際のところ、社員を雇わず、給料に代えて IssueHunt で報酬を支払う企業も出てきているようだ。
コントリビュータに対する報酬支払において、この分野で先行する Gitcoin は仮想通貨のみに対応しているのに対し、IssueHunt は米ドル建て Fiat(法定通貨)のみの扱いとなっている。IssueHunt が仮想通貨に対応する計画があるかどうかは、現在のところ定かではない。横溝氏はむしろ、エンタープライズユーザによる IssueHunt 利用を促進したいようで、そのための施策をいくつか考えているようだ。その一環として、来年4月には「Open Source Conference」というイベントの開催を計画している。
渋谷に拠点を置く BoostIO だが、社員はリモートワークを含め日本国内のみならずアジアやヨーロッパなど数カ国で業務に就いている。一般的なスタートアップでは社員数の増加を成長度の指標として書くことが多いが、同じ考え方は BoostIO には当てはまらないかもしれない。BoostIO には3日現在、199のレポジトリ(プロジェクト)が登録されている。
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