8割の会議削減も「議論特化型」スレッドサービス、Threads

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Image Credit:Threads

スレッド上で各該当トピックの話をするSlack。Eメールの体験を大きく刷新する存在として人気を博しています。ただし職場のグループコミュニケーション、中でもディスカッションをしたい場合の最適なツールとは言いづらいと思います。

大まかな進捗報告や相談をしたい場合は、EメールやSlackのようなチャットサービスが活躍します。ただし、特定の話題や意思決定に関してディスカッションをする場合は、会議室を予約して対面で会ったり、Zoomで会議をする方が適当です。

一方こういった従来型の会議をする上でも問題は出てきます。グループ規模が大きくなってしまうと自分の出番がくるのを待ったり、多くの人が聞き役に回って重役の意見ばかり尊重する流れが生まれたりするといった問題の発生です。こういった場合、3名、多くても4名程度の小さなグループにして毎回議論をする制度対策も考えられますが、議論点の抜け漏れや視点の薄さという新たな課題にも直面します。一長一短なのです。

ディスカッションや会議運営はこうしたトレードオフの中、なかなか多くの企業・チームにとっての最適解とされるツールがありませんでした。そこで登場したのが「Threads」です。2019年、著名VC「Sequioa Capital」をリードに1,050万ドルを調達しています。

会議をなくすためのスレッドサービス

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Image Credit:Threads

Threadsでは、“Space”と呼ばれるテーマチャンネルと、その配下に各メンバーがテキスト・写真・動画・GIFコンテンツを投稿できる“Thread”の2つが存在します。たとえばSpaceに「デザイン」と名付け、その中に様々なデザインに関するスレッドを立てて議論していく使い方になります。

あらゆるユーザーが特定トピックに対してディスカッション参加できるUXが提供されています。非同期に特化していることから、Zoomのようにリアルタイムに議論に参加する必要はありません。「フラット、かつ会議をなくす、スケジュール設定が一切ないワークツール」がコンセプトです。

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Threadsのユースケース

特徴的な機能として、意思決定ボタンが挙げられます。

どの投稿内容をもとに議論を決着させようとしているのがが明確にわかる意思決定ボタンが各メンバーのコメント横に用意されており、押すとスレッド主がどの意見を参考に、どういった決定をしたのかがわかるようになっています。永遠と長く投稿が続くことがなくなります。

課金制度になっており、150件以上の投稿をする場合は、メンバー一人当たり10ドルをチャージするモデルです。

元々、Threadsの創業者は長くFacebookに勤めており、同社ワークツールの「Workplace」を長く使っていた経験があります。そこで、同期性ではなく、自分のペースに合わせてディスカッションができる非同期性が欲しいと感じ、Threads開発に至ったそうです。そこで、スケジュール要素を省いた製品コンセプトに至ります。

ここでポイントとなるのは「時差問題の解消」です。

特に昨今、必要に迫られているリモート組織ではそれぞれのメンバーから意見を集め、重めの意思決定をするのが難しい印象です。即座の返信を求めるのではなく、製品コンセプト自体が長期に渡るディスカッションを全員で共有・消化するコンセプトのThreadsは、万人向けのチャットサービスSlackなどより重宝されるかもしれません。

現在ではクレカスタートアップ「Brex」や、リモート企業として有名な「Buffer」で採用されていて、会議数を80%ほど減らせたという声もあるようです。Slackと競合するサービスは多数登場していますが、GoogleやMicrosoftなどのテック巨人以外はどこも苦戦している印象です。一方、Slackから派生・協同する形で、ビジネスディスカッションのような特化型ユースケースを追求するThreadsのようなサービスにはまだまだ活躍の場が残されているように感じます。

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