生鮮食品配達の「オートパイロット化」を目指すJupiter、その3つの特徴とは

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Image Credit:Jupiter

本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

コロナ禍で生鮮食品配達市場が大きく伸びているようです。

例えばこの領域の代表格、Instacartは一気に6倍にまで急増しているというデータもあり、その他も総じて成長市場になっています。ここで登場したのが「Jupiter」です。同社はInstacartとほぼ同じ、生鮮食料品配達事業を展開しているのですが「対話型の購入体験」「需要予測」「会員制」の3点で異なります。

1つ目の「対話型の購入体験」では、顧客データを収集し、サービスの最適化に活かしている点が挙げられます。Instacartの購入フローでは、顧客が毎回食材を選ぶ必要があります。しかしJupiterが目指すのは「オートパイロット(配達自動化)」です。カートに事前に商品を入れて、顧客に選んでもらう体験フローを目指しています。

日本では食材配達サービス「Oisix(オイシックス)」が同様の体験を提供しています。同社は事前にカートに食材を入れておき、顧客に選んでもらうフローを重視しています。「食材選択データ」と「購入データ」の2つを分析した上で、毎回適切な食材を提案できるように、「カートのメディア化」とでも言える施策を打っているのです。

単に提案した商品をそのまま購入し続けてもらう、購入フローが自動化された体験では、顧客満足度が下がり、いずれ離脱してしまいます。そのためあくまでも楽しく購入できる「能動的な選択」を重視しているのが特徴です。

現在のJupiterでは、まさにこの対話型の体験が実現されています。Jupiter側で毎週顧客の趣向に沿った内容のカートが用意されており、顧客は内容を編集するだけ。ここにInstacartとは違う提供価値があります。単に利便性が高まっているだけではなく、顧客とプロバイダー側が商品選択において対話する軸は、満足度を高める上で非常に重要な点になってきます。

そして食材を提案できるようにJupiterは食品サプライヤーと直接提携し、注文が処理される独自の中央倉庫ハブを持っています。各生鮮食料品点の在庫データとの連携を不要とし、オペレーションの簡素化や注文処理における変動値を極力抑えることができます。

データドリブンなアプローチで各顧客にパーソナライズ化した商品カゴの提案ができるのは、常に該当商品を提供できるほどの在庫を確保できているためです。Instacartのようにいざ買ってみると商品がなかったという事態を防げると同時に、商品カートの選択・購入データから、仕入れ量の事前予測が可能となります。

顧客の購入データの事前予測とサプライチェーンを完全に同期させ、事業の最適化を図るーー。これが2つ目の「需要予測」に繋がります。

そして3つ目が「会員制」です。一連の購入体験を実現するために、Jupiterがターゲットするのが比較的予算のある富裕層です。月額20ドルの会費を支払ってまで、多少値の張る食材を購入したい意思を持つ人を狙っています。同社は自らを「贅沢なInstacart」と呼んでいますが、まさによりアップグレードされた食材配達サービスを望んでいる層を狙っています。

一見、スケールするのは難しい印象を持つかもしれませんが、顧客の食材選択からレシピ提案、ミールキット提供という「食材購入における川上から川下」まで幅広くサービス提供できる裾野を持っているのがJupiterです。

競合には累計6,500万ドルを調達している「Good Eggs」があり、同社もサプライチェーンから一括で自社管理できる体制を確保しています。今後は顧客データと物流の両方を抑えた、ヘビーなビジネスモデルを持った配達事業者に注目が集まるかもしれません。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した