ワールドカップで注目のIoTボール、鍵は合わせ技「リアルタイム」分析【Canvas 11月号・今週のまとめ】

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Image Credit: adidas

こんにちは!BRIDGE編集部の平野です。ワールドカップ、日本勝ちましたね〜。4年に一回目を覚ます「にわかファン」として人並みに応援しております(笑。

ただ、今回はちょっとだけ個人的にもスタートアップ的にも別の興味が沸きました。そう、テクノロジー、特にIoT(Internet of Things)関連の話題です。日本を劇的な勝利に導いたテクノロジーとして今回、大活躍しているのがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)です。三笘薫選手のパスがラインを割ったかどうかを判定したのですがこれ、目視では絶対に「割ってます」よね(笑。でも、ミリ単位での判定でテクノロジーが「割ってない」と判定したそうです。

VARに使われている技術はこの記事でもご紹介した「KINEXON(キネクソン)」社製のコネクテッド・ボールとソニー傘下の企業が提供するビデオ判定システムの「ホークアイ(Hawk-Eye)」です。ホークアイはテニス中継でもたまにライン割ってるかどうかをビデオで見せてくれるカメラ中心のシステムで、対するKINEXONのコネクテッド・ボールは内部にぶら下がったセンサーでリアルタイムにボールの状況を伝える仕組みになっています。

今回の判定の本当の詳細はわからないですが、今回はホークアイの映像だけでなくこのセンサーがあったことで三笘選手がどこでボールタッチしたのかを正確に判断してくれたんだと思います。

IoTボールと一緒にVARで活躍しているソニー傘下のホークアイはテニスでお馴染み(Image Credit : SONY)

ありがとうKINEXON(と、ソニー)。

ちなみにKINEXONはドイツのスタートアップです。2012年創業と結構な古株ですが、Crunchbaseを見るとこれまでに1.5億ドルほど集めてる優秀なIoTスタートアップでした。サッカー以外にもバスケットボールやホッケー、アメフト、ハンドボールなどのスポーツも手がけているそう。

ありがとうドイツ。

で、Twitterとかの反応をみていると、「これ蹴って壊れないの?」とか「他のスポーツにも使えるのかな」みたいなコメントを見かけたので、これまた日本のIoTスタートアップのMODE創業者、上田学さんにZoom繋いであれこれお聞きしてみました。学さんはTwitterやGoogleなどで働いていたエンジニアで、みなさんよく使ってるGoogleマップ日本版の開発に携わった方です。

学さんともお話したのですが、ボールの中に入ってるのは加速度やジャイロ系のセンサーで、例えば車が何かにぶつかったりした衝撃を感知するようなものであれば、そもそも耐久性が必要とされるものなんだそうです。身近なところだとゲームコントローラーとかの中に入ってるもので、それが画像にあるように真ん中にゴムみたいな紐でぶら下がってる。

気になるのが精度なんですが、学さん曰く、一般的なIoTセンサーだけでもし位置を判断しようとしたら数センチでブレが出るので、間違いなくこれだけでは無理だろうねというお話でした。なので、あの際どい判断をIoTボールだけで判断するのは難しく、一方、ホークアイだけだと画像での判断のみになるので「ボールが触れた瞬間」を「リアルタイム」に計測するのは無理。さらに言うと画像判断は常にAIが稼働して人間の動きを判断するのでどうしてもCPUリソースが必要になります。合わせ技だったからこそ、この短い時間でリアルタイムに今回の判断ができたのだと思います。すごい。

学さんとその後、IoTの良さはやはりリアルタイムだよね、という話になりました。そもそもスポーツにはGPSなどのテクノロジーが随分と前から導入されていて、動きなどの判断はもうできるようになっているそうなんですね。問題はタイムラグです。通常は試合が「終わった後」にデータを拾い上げ、よっこらしょと分析する。

でもIoTセンサーを使えば、今回のように試合中にリアルタイムで計測が可能になるわけです。

これで何ができるかというと、試合中にデータをみながら戦略分析するといったことです。あ、この選手もう走ってないから交代ね、みたいなのを定量的に判断できる。実際、F1みたいなモータースポーツでは、レース地から遠く離れた場所でデータを分析するチームが指令を出すようなことがあるそうなので、今後、IoTがサッカーやバスケットボール、ラグビーのようなリアルタイムに戦況が変わるスポーツの楽しみ方を変えてくれるようになるかもしれません。

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ということで、ワールドカップを前に世界で使われているスポーツテックをいくつかまとめてみました。日本戦で注目を浴びたVAR、IoTボール以外にもサッカーを楽しくする、新しいテクノロジーがいろいろ登場して、実際に使われています。ぜひその他の記事もチェックしてみてください。

時の人

視覚障がい者を対象に、ウエアラブルデバイスやソフトウェア技術で、より安全で便利な移動体験を提供しようとするAshirase CTO の田中裕介さんに話を聞きました。本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups Founders Hub」による寄稿転載です。

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