投影型ディスプレイデバイス「Pyrenee Drive」が自動ブレーキで防げない自動車事故を防止する方法とは

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2016.4.8

最近、車関連のテクノロジーについて耳にすることが多くなった。

電気自動車のTesla Mortorsが1週間で32万5000台の予約販売に成功し、140億ドル(今日時点の日本円で約1.6兆円)を手に入れたかと思えば、自動運転でピザを配達する車が出てきたり、自動運転技術の製造に成功したハッカーに著名投資家が出資をしたりするなど、なかなかバラエティーに富んでいる。

UberやLyftのようなシェアリング・サービスももちろん健在だし、ソフト・ハード両面で移動の未来が近づいている印象がある。

中でも重要な技術が安全性に関わるものだ。このBusiness Insiderのまとめ記事には5つの安全技術がまとまっていて、それぞれ車外エアバッグ、衝突防止、ナイトビジョン(暗視)、大型バンの車内会話システム、リアカメラとなっていた。どれも車を運転したことのある人であればなるほど便利と感じるものだろう。

とくに衝突防止については私自身、過去に車を運転していてひやりとしたことは一度や二度のことではない。もちろん新型車には衝突安全策がついたものも多くなったが、やはりまだ一部にすぎない。

この大きな課題にチャレンジしようというスタートアップ、それがPyrenee(ピレネー)だ。

投影型ディスプレイデバイス

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Pyrenee Driveはまだ世に出ていない。ステルスというわけではないが、これからクラウドファンディングに挑戦しようという段階のプロダクトだ。

黒い筐体に収められた液晶ディスプレイから発せられる映像はそのまま正面についているクリアディスプレイに投影され、一見するとナビゲーションシステムのように見える。

それもそのはず、ディスプレイが収められている筐体には基盤が入っており、Androidベースのアプリであればインストールして動かすことができるので、例えばGoogleマップをナビゲーションとして使うようなこともできる。

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まあ、いわゆるスマホがここに収まってると考えていいだろう。これをダッシュボードに設置して、透過するディスプレイに表示された情報を運転しながら安全に確認することができる。

もちろんそれだけではない。このPyrenee Driveには前面にカメラが2個付いており、そこから車両前方に動く物体を検知、近くなりすぎるとアラートを発してくれるのだ。

30代後半の人だったら辛うじてわかるだろうか、アラート音はバンゲリングベイのそれに近かった。

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アラートのイメージ。ムービーの音はバンゲリングベイだった(再掲):Image Credit Pyrenee website

さておき、これを作った(というかこれから世に出そうという)Pyrenee代表の三野(みの)龍太氏に話を聞いた。

人生をかけて「人命を救う」製品が作りたい

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「高校を卒業して建築工具の設計をやっている小さな会社に入りました。最初の会社を興したのは24歳の時です」(三野)。

彼が最初に立ち上げたリアライズという会社では主にiPadのスタンドなど、電気の通らないガジェットを作っていた。そんな彼に転機が訪れたのは35歳の時だったという。

「作りたいものを作ってやってきましたが、今後の人生を考えた時、例えば65歳までものづくりをしてあと30年。悔いのない仕事ってなんだろうって考えたんです。人生かけてやれるような大きな仕事。やはり人の命を救えるような、それでいてカッコいい製品を作りたいって思うようになって」(三野氏)。

そうして夫婦でPyreneeを創業することになる。彼らは今、DMM.make AKIBAを拠点に製作を続けている。

「医療やヘルスケアなんかも考えました。けど、大企業もスタートアップもいて混戦気味。一方で車の事故って大きな問題なんですが、まだやれる方法があるなと思ったんです」(三野氏)。

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三野氏の調べによれば、世界の若者の死亡原因の第1位がこの交通事故なんだそうだ。もちろん車メーカーも安全装置の製品化を進めているが、外部メーカーでこれを積極的にやっているところは見かけなかったのだという。

「車、歩行者、自転車の安全を守るそんなデバイスメーカーになりたい」(三野氏)。

三野氏と話していて興味深いと感じたのは、自動ブレーキシステムも完全に安全とは言い切れないという点だ。そもそも死亡事故に繋がるような運転は速度が出ている。特に走行速度50キロを超えるとブレーキよりもハンドル操作の方が重要になるという。

「前向いて集中して運転してれば防げるんです」という三野氏の話は実にごもっともだ。

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またPyrenee Driveの特徴はハードウェアにもある。彼らが前方の人物などをカメラでキャッチしてアラートを出す仕組みは、当然ながらその判断処理速度が重要になってくる。前方の人をカメラが確認するまでにタイムラグがあればそのまま事故になってしまう。さらに言えば、前方の障害物など大量に存在している。

「あるチップを使ってこの処理箇所だけはそいつにやらせてます。これで入ってきた情報をそのままソフトウェア的に処理せず、リアルタイムに解析できるようにしました」(三野氏)。

彼らはこのシステムを作るのに約1年を費やしたという。

「保険会社さんやトラックやバスなどの営業車両を使う法人さんのご興味が結構あります。仕事で乗る車って疲れてるから事故起こりやすいですしね」(三野氏)。

今後はSIMカードを入れられるなど通信環境についても拡充を検討し、米Kickstarterでのクラウドファンディングに挑戦するための準備を進めているという。2016年中に販売を開始して予価は39900円ということだった。

 

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