中国のメッセージアプリWeChat(微信)のマネタイズと海外展開への課題

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【原文】

ローンチから2年でWeChat(微信)は3億ユーザを獲得し、更に機能を追加したバージョン4.5をローンチする。興味深いことにWeChatを運営しているチームはユーザ数や新しい機能を公開するだけで、インタビューの依頼を受け付けないばかりか、WeChatの今後の戦略も公開していない。彼らは中国のモバイルインターネットユーザ(去年の数字は4億2000万人)の70%を獲得しているためメディアを使用して公に露出する必要が無いと私は考えている。

これだけ多くのユーザ数を獲得しているので、多くの人が彼らの一挙一動を注目し、マネタイズの課題にどう取り組むかを考えている。地元のポータルであるNetease(網易)は、WeChatが今後、利益を出すために考えられる方策について興味深い考察を示している。

WeChat Style

WecChatのトップでTencent(騰訊)の役員であるZhang Xiaolong(張小龍)は、「多彩なアプリは多方面において平均的でなくてはならない。」と言っていた。彼は、現在のWeChatについて言ったわけではないと思う。何故ならこのメッセージアプリには、QRコード、オープンプラットフォーム、プライベートソーシャルネットワーキング、音声録音など、多様な機能が搭載されているからだ。

ユーザの認知度を見る限りでは、WeChatの同胞が未開拓の領域に着手するのは難しいように思う。Tencentのライフスタイル・Eコマースの部署は地元の商店と、時々彼らが発行する迷惑なWeChatの通知を管理している。この小さなエコシステムの中で展開される広告も他のTencentの部署により管理されている。

多くのサードパーティーもWeChatの公的なプラットフォームに自ら進出し、化粧品の販売やランチの注文を受けるなどのビジネスを展開している所も出てきた。これ以上悪化し、これらのビジネスにより不必要な情報が増え続けると、本当のユーザーが離れていってしまう懸念がある。

幸いにも、WeChatは、ユーザの迷惑になったり、彼らの同胞の動きの妨げになるような機能を停止した。

マネタイズの課題

サービスに制限が設けられた今、Wechatは多機能すぎるアプリ商品にも関わらず成功を収めているように見える。これほど有名なアプリになると、高い利益を出すことが期待される。WeChatは今年にもマネタイズすることを考えていることが予測されている。私的には、それは理由のある予測までとはいかないが、高い期待を持っている。

以下が、WeChatがとることが可能なマネタイズの方策だ。

  • ・支払い

ライフスタイル・Eコマース部署のゼネラルマネージャーであるDai Zhikang(戴志康)は。昨年の9月のインタビューで、QRコードでの支払いとshake-it transfer (スマートフォンを同時に振ると転送される機能)をローンチするTenpayとパートナーをくむことを明らかにした。この支払いのパートナーシップはより多くの商店に広がるであろう。

  • ・ゲーム

Tencentが4億人民元(RMB)を投じたモバイルのメッセージアプリであるKakaotalk は、人々は友達同士でゲームをプレイすることを好み、そうした行動が利益を生むことを証明した。モバイルゲームをローンチしてから10日で、GooglePlayのランキング上位に入った。もしWeChatがカードゲーム等のソーシャルゲームをリリースすれば、第三者のゲーム会社から利益を生めることが予測されている。

  • ・O2O の実践

去年WeChatは公式商店のアカウントを購読するユーザーに対して割引を提供するバーチャル・ロイヤリティ・プログラムをリリースした。商店の利益分配やメンバーシップカードによる売り上げの分配によるマネタイズのモデルが考えられる。

  • ・Eコマースのチャネル

WeChatで商品を販売するTaobaoの販売店等は既に散見される。彼らはWeChatを新たなマーケティングのチャネルとして捉えている。

2013年世界展開を視野に入れる

WeChatは既に中国を独占した。次の目標は世界を手に入れることだろう。Pony Ma(馬化騰)はかつて、Sina Weibo(新浪微信)でWeChatから世界展開を視野に入れていると言った。

2011年4月、WeChat は英語の名前で世界市場にデビューした(中国名はWexin)。今では15の言語、100以上の国で展開している。プロダクトディレクターであるZeng Mingは、

「東南アジアや中東ではユーザーを獲得しているが、ヨーロッパやアメリカのまだです。そこが私たちの次の挑戦になります。」

と言った。また、彼らは、アメリカと東南アジアに新たにデータセンターを設け、違う国でのサービスを充実させると共に、地域の市場に対応することを発表している。

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【via Technode】 @technodechina

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