中国のMeituan(美団)とDianping(大衆点評)が合併し巨大O2Oを設立——時価総額は150~170億米ドル

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グループ購入の2大プロバイダーで、それぞれ中国のGroupon、Yelpと言われる Meituan(美団)Dianping(大衆点評)は折半投資のジョイントベンチャー設立で合意した。両社及びそれぞれの投資家の声明によると、その時価総額は150~170億米ドルだという。

この組み合わせは、Tencent(騰訊)対 Alibaba(阿里巴巴)というもう1つのO2Oサービス戦争の終わりを意味し、国内最大の2大テック系勢力と投資家を再び集めたものである。

Alibaba傘下のMeituanとTencent傘下のDianpingによる統合案件は、2月に配車アプリのKuiadi Dache(快的打車)とDidi Dache(嘀嘀打車)が合併したのに続いてテック大手が関わる案件としては今年2件目だ。

この統合によって市場には最大のO2Oプロバイダーが誕生するが、DidiとKuaidiの案件のように同じ需要独占を形成するのとは少し違ってくるだろう。なぜならAlibaba、Tencent ともに別の企業にも投資しており、それぞれが市場で相当の競合関係にあるからだ。その代表例として、Alibaba傘下のO2OハブであるKoubei(口碑)とTencent傘下の食品・日用品配送スタートアップの Ele.me(餓了麼)がある。

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今年投資の統合を模索している企業は Tencent と Alibaba だけではない。中国のITサービス市場が次第にその密度を増すにつれ、主要なプレーヤーは出資を早めに整理統合し、早い段階で現金化することに関心を寄せている。大手同士の組み合わせとしては、58.com(58同城)と Ganji.com(赶集)がそうだ。オンラインのクラシファイド広告市場で長年競合してきた2社が合併を発表したのは、DidiとKuaidiが合併した2ヶ月後だった。

Dianping は、2003年にYelpのような評価・レビューサービスとして事業を始めている。一方、Meituanは2010年にグループ購入のサービスを始めた。しかし、事業を発展させた両社は、やがてオンデマンドのローカルサービスや、映画やイベントのチケット購入、ホテルやアトラクションの予約の分野で直接競合するようになった。

中国の市場調査会社 Eguan(易観)によれば、両社は2015年の第1四半期現在、中国のグループ購入市場の80%以上を占めている

Meituan は今年の前半現在、フードデリバリー市場のおよそ50%を占め、4月現在、中国のオンライン映画チケット販売市場の約70%シェアを占めていると推定された(中国語出典)。同社は最近 TripAdvisor から旅行検索エンジン Kuxun(酷訊)を買収し、ホテル予約業務からの収益も急速に伸びつつある。

Meituan によると、同社の総流通総額(GMV)は2015年前半において470億元(約76億米ドル)だったが、これは対前年比190%の成長に当たり、モバイルの伸びは95%だった。ホテル予約業務は合計GMVの15%に貢献し、Maoyan(猫眼、Cat’s Eye)は13%の貢献をしている(中国語出典)。

Dianpingは、中国で最も人気のあるメッセージングアプリ WeChat(微信)で唯一のグループ購入サービスとなったが、それは後者の親会社 Tencent が2014年初めに20%の株を取得した後のことだった。TencentとDianpingもまた今年初めのEle.meの3億5000万米ドルの資金調達ラウンドに参加している(中国語出典)。

合併後、新会社の主な競合はグループ購入では Baidu(百度)の Nuomi(糯米)、映画チケット業務では Gewala(格瓦拉)など、ホテル予約業務では Ctrip(携程)や Qunar(去哪兒)などとなるだろう。58.com、Baidu、Alibabaの 金融部門 Ant Financial(螞蟻金融)による新たな試みとなる Koubei は、O2O市場からも利益を得ようという姿勢だ。

Meituan も Dianping も中国の大手テック企業や一流のベンチャーキャピタルから何億もの資金調達をしてきた。Alibaba 以外には、Meituan の出資者は、Tencent と共に Dianping にも出資した Sequoia Capital、Xiaomi(小米)、不動産複合企業 Wanda(万達)などが含まれている。

この新しい Meituan・Dianping の新会社は、それぞれのマネージメントチームによる共同運営となる。双方からのCEOは新しい会社の共同CEOおよび共同会長となる。

運営費の悪循環を絶つ

Meituan は、何千もの中国のグループ購入サイトの中で生き延び、参入が相次ぎと起こった2010年には、参入者らと戦いトップに躍り出た。その高い評判にも関わらず、地元業者に対するグループ購入やオンライン広告は、中国では利益の少ない事業である。つまり、サービスには、市場シェアを獲得すべく素早く行動することが不可欠なのである。

何百という類似したサービスが人気のサービスを追って現れるのは中国ではよく見られる。業者から比較的安い手数料を取るのは別として、ベンチャー支援のテック系スタートアップは、O2O分野において市場シェアのためユーザに補助金を出す。しかし、助成金がユーザの定着につながるとは限らない。スタートアップが成長やユーザ保持に拍車をかけるベンチャー資金を持っていなければ、あっという間に舞台から脱落するだろう。

Dianping とMeituan の合併は、市場シェアを統合する助けとなるだけでなく、両社がサービスの補助金に当てて投資する巨額の支出を食い止める助けにもなるだろう。

Didi-Kuaidi(嘀嘀快的)の合併をお手本に

合併後、Didi-Kuaidiはさらに素早く積極的に行動した。今では市場に現存するライドシェアリングサービスのほとんどを提供している。また同社は、中国および海外の投資家からおよそ30億米ドルの資金を調達するほど、ベンチャー投資家にとってより魅力的な企業になってきている。

Didi KuaidiのCEO、Cheng Wei(呂伝偉)氏から投資家に当てたメールによると、同社は今年6月の時点で、毎日300万件の乗車利用でログインされるタクシー配車アプリは99%の市場シェアを保有し、自家用車配車サービスは80%のシェアを保有すると確信していた(中国語出典)。Didi・Kuidaiの核となるタクシー配車サービス以外では、今のところ中国で唯一の大きな競合は、自家用車配車サービスとライドシェアリングサービスを現在運営しているUberだ。

今、Didi-Kuaidi は、目を世界市場に向けている。最近 Lyft(アメリカのUberのライバル)に莫大な投資を行ったのだ。Didi-Kuaidi は利用者にそれぞれの国でタクシーを拾えるようにし、またインドのライドシェアリングサービスであるOlaへの投資ラウンドにも参加している。

Didi-Kuaidi が中国の市場シェアのために熾烈な戦いをしているインターネット企業を活気づけているのは明らかである。中国のクラシファイド市場では58.comとGanji.comを合わせると70%を超えるシェアを占めると見込まれている。他の競合は Baixing.com(百姓)1社だけだ。

5月に、中国のオンラインビデオスペース大手のYouku-Tudou(優酷土豆)とiQiyiも合併の協議に入っているという噂がいくつかあった。Youku-Tudouは、当時最大のオンラインサイト2社、Youku(優酷)と Tudou(土豆)が合併した結果であった。Youku-Tudou のCEO、Victor Koo(古永锵)氏はその噂についてコメントし、ビデオ業界の統合は続くだろうと述べた(中国語出典)。Baidu 傘下の iQiyi(愛奇芸)のCEO、Gong Yu(龚宇)氏は、何が何でもIPOを目指すと後に述べた(中国語出典)。

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【via Technode】 @technodechina

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