Rakuten Venturesが世界ファンドの運用額に1億ドルを追加、楽天の動きとは対照的にアジアで投資を強化 #tiasg2016

SHARE:

tiasg2016-rakuten-ventures-1

本稿は、4月12日〜13日にシンガポールで開催されている Tech in Asia Singapore 2016 の取材の一部である。

Tech in Asia Singapore 2016 1日目のセッションで、楽天の CVC である Rakuten Ventures の Managing Director である Saemin Ahn(안세민)氏が、Tech in Asia 創業者の Willis Wee 氏と行ったファイヤーサイドチャットの席上、グローバル向けに新たに1億ドルのファンドを組成することを発表した。これは、2014年7月のグローバル向け1億ドルファンドの組成に続くもので、今年1月に発表した日本国内向けのファンドとあわせると、運用累計総額は約2億8,500万米ドルに上る。

同社はこれまでに、Carousell、Visenze、PocketMath、Send Anywhere、Algorithmia、Epic! 等のスタートアップに投資している。

<関連記事>

tiasg2016-rakuten-ventures-2
左から:Rakuten Ventures Managing Director Saemin Ahn氏、Tech in Asia 創業者 Willis Wee 氏

Rakuten Ventures はこれまでに、アメリカ、シンガポール、日本などに投資してきているが、インドやインドネシアといったホットな市場に投資することはないのか、という Wee 氏の質問に、Ahn 氏は次のように答えた。

その市場で何が強いのか、我々がどうやって、その市場に参入できるのかということを考えている。インドは確かに15億人と人口は多いと言われるが、スマートフォンを持っている年収で1万ドル以上の中間所得層は4,000万人から5,000万人程度。これは、韓国の人口よりも少ない人数だ。(中略)

投資を受ける準備ができていない市場というのもある。人々がモノをオンラインで買うようになるまで待たなければならない。何年待てばいいのかは私にもわからない。商業ベースのファンドにとっては、我慢して待つということはコストのかかる行為だが、我々は幸いなことに CVC なので、時が来るのを我慢して待てるというのはアドバンテージだ。(Ahn 氏)

また、Wee 氏は、楽天が東南アジアからの撤退を余儀なくされていることに触れ、このことが Rakuten Ventures の今後の動向に影響するかどうかについても尋ねた。

幸運なことに Rakuten Ventures は、楽天の本体からは完全に独立している。したがって何も変わらない。(Ahn 氏)

<関連記事>

tiasg2016-rakuten-ventures-3

興味深いことに、Rakuten Ventures は Carousell というモバイル C2C アプリに出資をしている。一方で、楽天は先ごろ、「ラクマ」というC2Cアプリをローンチした。ここで利益相反が起きず、しかも、特段、Rakuten Ventures から楽天に対して「(同じ C2C アプリである)Carousell を買収して、楽天の C2C アプリにしよう」という提言が出ないあたり、Rakuten Ventures が楽天からいかに独立して運営されているかの表れでもある。

今後の投資戦略について、特に注力する市場やセクターがあるというわけではなく、Ann 氏は端的に「投資したいと思った会社に投資していく。それだけ。」と語った。起業家は忠実に目標に向かって邁進することが大事で、今回の運用額増額を受けて、そのような起業家を今後も支援していきたいとのことだ。