中国のバイクシェアリング・スタートアップMobike(摩拜単車)、膨大なユーザデータを活用したAI「Magic Cube(魔方)」を発表

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自転車レンタルスタートアップ Mobike(摩拜単車)は昨日(4月12日)、競合各社に対抗する新たな試みとして、「Magic Cube(魔方)」と呼ばれる人工知能(AI)によるデータ監視プラットフォームをローンチしたと発表した。姉妹サイトの TechNode Chinese(動点科技)が報じた。

自転車レンタル分野で AI が利用されるのは初となる。

Mobikeのビッグデータ部門チーフサイエンティストである Yin Dafei(尹大朏)氏 によると、Magic Cube(魔方)は自転車レンタルの需要と供給の正確な予測を行うことができ、自転車の配置、スケジューリング、および運営に関するアドバイスを行う。この AI プラットフォームにより、同社を悩ませている違法駐輪の問題解決に期待されるジオフェンシングの導入も可能になる。

現在自転車レンタル分野においては、Mobike と競合の Ofo(小黄車)が自転車の数と技術をめぐり競争を繰り広げている。Mobike は China Mobile(中国電信)や Ericsson と協業し、自転車レンタル会社としては世界初となる IoT プラットフォームを導入した。これにより他社に一歩リードすることになった。

NB-IoT(Narrow Band IoT:IoT 機器向けの通信規格)を搭載した Mobike では、ユーザは正確な位置情報を取得でき、また、解錠方法の使い勝手が良くなる。対照的に、Ofo は IoT 技術の搭載を予定していなかった。3月下旬になって  China Telecom や Huawei(華為)との提携を発表し、現在追い上げを図っているところだ。Ofo は最近、不安定であった位置情報機能の改善に向け中国の GPS 企業 BeiDou Navigation(北斗衛星導航)との戦略的提携を発表した。

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Mobike と Ofo は熾烈な競争を繰り広げており、政府が支援する機関へのご機嫌取りに勤しんでいる。政府の支援を勝ち取り、規制問題で優位に立ちたい思惑だ。

Mobike は昨日、AI プラットフォームの発表とは別に、都市旅行研究所のローンチを発表した。研究所には政府支援の研究機関や NGO など11の他の機関が協力する。持続可能な都市旅行のあり方を模索し、スマートで二酸化炭素排出量の少ない健康な都市を築き上げることを目標としている。

Mobike はまた、「自転車シェアと都市開発に関する白書(摩拜単車:2017年共享単車与城市発展白皮書)」を昨日(4月12日)発行した。同白書では、自転車レンタルは中国での移動手段としては自動車、バス、地下鉄に次いで4番目に重要になっているとしている。自転車レンタルサービスの登場以来、自動車(自家用車、タクシー、オンラインの配車サービスを含む)による移動は55%減少し、また、運賃を取って違法に乗客を運ぶ自家用の「黒バイク(中国語で黒摩的)」の使用率も53%減少したという。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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