音声アシスタントはAIスピーカーの外へ飛び出す【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2017.10.26

本稿は、VR や音声インターフェイスなどの先端テクノロジーを活用した UX/UI 領域で事業展開している、WHITE の CEO 神谷憲司氏による寄稿である。

「AIスピーカーが私たち暮らしをどう変えるのか」をテーマに、主に海外先行事例やAIスピーカー界隈のスタートアップの紹介と、そこから予測される日本市場での活用方法などを解説していただく。


Alexaが動作するアマゾンのデバイス。左から、Echo Dot、Amazon Tap、Amazon Echo
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

10月頭に Google Home が日本で発売され、LINE の Clova WAVE も一般販売を開始した。読者の中には既に購入した人や、ネットに上がったレポートを見て「自分も買ってみようか」と思った人も多いのではないだろうか。

前回の記事では、リビングルームに置かれ、生活者とさまざまな企業のタッチポイントとなる AI スピーカーを紹介した。それは、音声の入力に対して音楽や音声のコンテンツを返す、家庭内における情報ハブ、メディアという位置付けとしての AI スピーカーだ。

一方で、AI スピーカーは、家そのものがネットとつながり、頭脳を持ったロボットのようになる「スマートホーム」実現への入り口としても注目されている。

スマートホームといわれてすぐに思いつくものとしては、例えば照明を点けたり、エアコンの設定温度を変えたり、テレビのボリュームを変えたりといった操作を行うシーンだろう。情報やコンテンツをスピーカーから引き出すのではなく、「モノを制御する」という使い方だ。

アメリカの Amazon Skills Store には9月時点で20,000を超える Skill があるが、その中でも「Smart Home」カテゴリの Skill が28%と最も高い割合を占めている。日本でも名の知られたところで例を挙げるとすると、Philips 社の「Hue」というスマート IoT 照明システムを制御する Skill が多く使われている。

出典:Voicebot.ai

国産 AI スピーカーである Clova WAVE は赤外線コントロールに対応しており、従来リモコンで操作してきた家電ならデフォルトの機能で操作が可能だ。

Echo や Google Home の場合は Bluetooth を使う、あるいはインターネット経由で IoT 機器を制御するということになる。

IoT 機器というくくりなら、コントロールする製品は家庭内だけにとどまらない。Amazon Skills Store には「Connected Car」のカテゴリもあり、Ford、Mercedes、BMW、Tesla、Hyundai、日産など自動車メーカー各社が Skill を提供している。家にいながらEchoを通じてリモートでエンジンをかけたり、車内のエアコンを調節したりといったことが可能になる。

さらに、Ford、BMW、日産などの自動車メーカーは車自体に Alexa を搭載することを発表している。年内から2018年に実装が見込まれる。今年の1月に公開された Ford の動画(以下)が、Alexa を搭載したクルマの便利さを上手く表現している。

確かに、家の外でありながらもプライベートな空間という意味で自動車は「家」に近いし、運転で両手がふさがっていることを考えると、音声インターフェイスが最も本領を発揮すべき空間といえるかもしれない。

今でこそ、AI スピーカーというガジェットそのものが注目を集めているが、今後は「スピーカー」だけではなく、自動車のように他のさまざまな家電やデバイスに直接組み込まれていくことになるだろう。

今年1月にラスベガスで開催された家電見本市 CES では、Alexaを 搭載したデバイスが約700も登場したという。それらの製品は、照明器具やテレビにとどまらず、冷蔵庫、洗濯機、子ども用の玩具、ロボットなど、あらゆるジャンルにわたる。

Amazon では早くから Alexa Voice Service(AVS)を開発者向けに公開してきた。AVS とは、クラウドで音声認識や自然言語解析を提供し、さまざまなデバイスに「音声による操作」や「会話機能」を追加できるようにするサービスのことだ。

今年の8月には、サードパーティーが Alexa をより簡単に製品に組み込めるよう、開発キット(Alexa Voice Service Device SDK)を公開している。Amazon Echo が今年中に日本で発売されることは既に発表されているが、おそらく発売と同時に、AVS を利用した Alexa 対応製品が市場に出てくるだろう。

Google も、今年の4月にサードパーティー向けて Google Assistant SDK を公開した。家電・音響メーカーなど複数のサードパーティーが、Google Assistant を搭載する AI スピーカーを発表している。こちらも今後はスピーカーだけでなく、さまざまな家電・デバイスに組み込まれていくと考えるのが自然だろう。

そうすると今後、音声インターフェイスを使ったプロダクトを考える場合、「AI スピーカーの上で何をするか」ではなく、Alexa や Google Assistant などの音声認識エンジンをいかに使って、スピーカー以外のどんなプロダクトをつくるかが、一つのポイントになってくるのではないだろうか。

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