クリエイター1万人が登録する特化型クラウドソーシング「MUGENUP」シリーズBで1億3000万円調達ーー上場への戦略を聞く

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MUGENUP代表取締役の一岡亮大氏

ネットの力で人的リソースを集約し、効率的なビジネスモデルを構築する「クラウドソーシング」。事業者とユーザー間で取引する仕事の範囲によって汎用型と特化型に大きく分類され、前者が幅広い仕事を取り扱うのに対して、後者は翻訳や特定制作物など、「取り扱い仕事内容」を特化しているのが特徴だ。

この特化型クラウドソーシングで2Dや3Dのコンテンツ制作を取り扱うMUGENUPは8月29日、経営共創基盤とSMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資を発表した。調達金額は総額で1億3000万円、内訳や払込日については公表されていない。

MUGENUPの創業は2011年6月。当時、ソーシャルゲームを開発するも当たらず、開発受注があったことから2012年3月頃にこの特化型クラウドソーシングのスタイルにシフトした。このあたりの経緯やMUGENUPのワークスタイルなどについては過去本誌でMUGENUP代表取締役の一岡亮大氏にインタビューした内容がここここで読むことができる。

主にソーシャルゲームと呼ばれるジャンルが成長著しい背景もあり事業は順調に推移。2012年9月にはニッセイキャピタルを引受先とする1億円の第三者割当増資も実施している。

一方で特定業種への密着はその界隈の浮き沈みに影響もされやすい。主に「ゲーム」へのキャラクター供給をおこなう同社は今回の調達でどのような戦略を取ろうとしているのか。

1万人の絵師を動かす司令塔「MUGENUP WORK STATION」

MUGENUPの採用するクラウドソーシングは直接クライアントと制作者を繋げるタイプではなく、間にMUGENUPが入り数十人のアートディレクターが1万人近くのクリエイターをディレクションするところに特徴がある。

そしてこのレバレッジを可能にしたのが、オリジナルの「MUGENUP WORK STATION」というシステムだ。現在の事業状況を一岡氏に聞く。

「ゲーム関連(モバイルゲーム)は引き続き受注増です。ただし、プラットフォーム毎に売れるゲームの内容が異なってきている印象があります。

例えば、ブラウザゲームの場合は以前としてカードバトルのイラストがメインですが、ネイティブゲームの場合はUnityベースで開発された3Dや2Dアニメーションを織り交ぜたクリエイティブを求められています」(一岡氏)。

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MUGENUP WORK STATIONの「司令室」十数人のディレクターが指揮をとる。

なお、現在のチーム体制についてはこのような状況だそうだ。

「登録されているクリエイターはもうすぐ1万人に到達しますね。現在の正社員、アルバイトを含めると60人の体制になります。今回の調達を機に3Dの人材を増強し、1年で100人体制にまでもっていく予定です。

またMUGENUP WORK STATIONには翻訳システムが入っているので、英語•中国語•日本語であれば母国語で他国のクリエイターと協業が可能になっています」(一岡氏)。

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MUGENUP WORK STATIONでクリエイターとディレクターが共同作業

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一岡氏によれば、このMUGENUP WORK STATIONは適宜クライアントともシステムを共有し、制作されるキャラクターなどのクリエイティブを随時オンライン・チェックできるようなプランも準備されているという。

増加する3Dクリエイティブの依頼と蓄積される「デザインデータ」

最近の傾向で特徴的なのが急増する3Dコンテンツ制作の依頼で、実はこのデータにこそMUGENUPの将来像の一旦が隠れているという。引き続き一岡氏に聞く。

「リアルプロダクト向け3Dモデリングのご依頼が急激に増加してますね。特にデジタルコンテンツ用データをリアルプロダクト用データに直すリデザイン作業が増加しています。この「金型」に置き換わるマーケットも狙っています」(一岡氏)。

一岡氏が金型と呼ぶのがMUGENUPに蓄積される2D、3Dのデザインデータだ。キャラクターなどのデザインをそのまま転用する意味ではなく、大量に蓄積されたデザインデータと関連情報を分析し、特定マーケットに対し、どのようなキャラクターや形が受け入れられるか予測できるようになるのがポイントだ。

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MUGENUP WORK STATIONなどの中枢システムを開発している現場。増員予定

上場に向け目指す「デザインデータの総合プラットフォーム」の姿

多くの戦略は非公開とされたが、例えば蓄積されるデザインデータの中には、キャラクターをプロダクト(塩ビビニールなど)にしたとき、どの程度の「収縮率」で奇麗な製品が仕上がるか、といった従来職人のみが持ち得た情報なども含まれるという。製品やマーケットに関する定性・定量の情報が含まれる「売れるためのデザインデータ」と考えてよいかもしれない。

「デザインデータの総合プラットフォームを目指しているんです。具体的にはイラスト業務で培ったオペレーションやデータベース設計をゲーム以外の業種にも展開し「おもちゃ」や「フィギア」といったジャンルでは既に取り組みが始まっているんです」(一岡氏)。

キャラクターなどのコンテンツ制作会社も、MUGENUPで制作したコンテンツのIP化が迅速にできるため、玩具メーカーなどと協力して効率的に試作品を開発、キャラクターから始まる映像やグッズなどの展開がしやすい。より具体的な内容については実例がでてくればより明らかになるだろう。

ーーさて、既に事業は順調に推移し関係者の話では黒字化にある同社だが、今回の調達資金を経て今後は数年内の上場を目指すという。特化型のクラウドソーシングというスタイルや戦略が世の中に受け入れられるか興味深い。

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