韓国5Rocksがグローバル・ブレインから2.3億円を調達、日本のモバイルゲーム会社5社にグロースハック・ツールを提供

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現在は創造経済の時代だ。イノベーションがお金になる時代、そして、いよいよ、韓国スタートアップのイノベーションが日本からの投資に扉を開いた。29日、韓国のモバイルBI(ビジネスインテリジェンス)スタートアップ「5Rocks(파이브락스)」は、日本のVCグローバル・ブレイン(以下、GBと略す)から約25.5億ウォン(約2.3億円)を調達したと発表した。今回のように、日本のVCが韓国スタートアップに2ヶ月で投資を決定したことは極めて珍しい。

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日本のGBオフィスにて、写真右から、GB 鈴木伸武氏、GB代表 百合本安彦氏、
5Rocks代表イ・チャンス(이창수)氏、5Rocks CSOノ・ジョンソク(노정석)氏

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5Rocks は、2010年9月に設立されたエイブラー・カンパニー(아블라컴퍼니)を前身とし、今年6月からBI事業を本格化し、社名を変更した。2011年5月には、韓国の Stone Bridge Capital(스톤브릿지캐피탈)から20億ウォン(約1.75億円)を調達しており、今回のGBからの資金調達は、5Rocks にとって初の海外からの資金調達となる。

GB は日本を代表する投資会社で、日本のみならず世界のスタートアップやベンチャーと密接な関係を築いている。今回、5Rocksは、WING(Nifty と GB による運用)と KDDI Open Innovation Fund(KDDI と GB による運用)の2つのファンドから投資を受けた。

GB代表の百合本安彦氏は次のように話している。

5Rocks は、GB が投資した最初の韓国スタートアップで、BI分野における世界最高の技術力とプロダクトの優位性、モバイルゲームの専門知識や洞察力を持つ経営チームの高さを評価しました。

韓国スタートアップの日本進出に大きな成果を上げた、5Rocks の資金調達に至った経緯と戦略を、同社のイ代表に聞いてみた。

イノベーションに成功するということ

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5Rocks は、モバイルゲームのためのデータ分析、リアルタイム・マーケティング、オペレーション機能からなるBIツールを提供している。BI とは、企業が迅速かつ正確な意思決定をするため、データの収集や分析を支援するツール群の総称で、企業の成長に非効率なプロセスを省くことを意図している。5Rocks は6月末クローズドベータ版のBIサービスを開始したが、それから1ヶ月の間に、Sunday Toz(선데이토즈)Link Tomorrow(링크투모로우)Gamevil(게임빌)Load Complete(로드컴플릿)Rocket Oz(로켓오즈)Momo(모모)など、韓国を代表するモバイルゲーム会社が自社ゲームの運用分析に 5Rocks のBIツールを採用した。これらのモバイルゲーム会社のラブコール殺到から今回の資金調達に至るまで、5Rocks はサービスと技術の向上に最善を尽くした。

スマホ誕生当時から Kakao Talk のゲーム発売に至るまでの間、「金の卵を生むガチョウ」と呼ばれ続けたモバイルゲーム業界も、今年の上半期にはそのバブルがはじけ始めた。モバイルやカジュアルなど寿命が短いと言われるスタートアップから大企業に至るまで、多くのモバイルゲーム会社が倒産したことがその背景にある。モバイルゲーム業界は、幻のブルーオーシャンではなくなり、売上や利益が確保できなくなった。モバイルゲーム市場に新たな技術イノベーションが求められ、開発会社は戦略の変更に乗り出した。

これまで単純に多くのタイトルが発表されていたモバイルゲーム市場で、トレンドが変わり始めたのだ。「選択と集中」によって、良質なコンテンツでゲームの寿命を伸ばし、差別化されたマーケティング戦略に力を入れるようになった。このような変化の中で、5Rocks は新しいトレンドにイノベーションをもたらすことに成功したのだ。

5Rocks の高い技術力とサービスの明確な定義は、イノベーションのベースになった。世界のモバイルBI市場における、Micro StrategyYellowfin のようなBI専門企業、Oracle や IBM などの昔からあるIT企業の傍らで、後発とも言える 5Rocks は海外のBI企業を研究し続けた。その結果、5Rocks は世界最大のモバイルゲーム市場である、韓国モバイルゲームに特化したサービスを実現し、現在、世界最高レベルのBI技術を誇っている。

偶然訪れたチャンスを自分のものにした

「偶然訪れたチャンスを自分のものにした」 今回の資金調達に至った経緯は、そのように表現できるだろう。

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今回の資金調達のきっかけは、5月1日、ソウル・三成洞(サムソンドン)の COEX で開催された「beLAUNCH 2013」での出会いが発端だ。講演者として参加した 5Rocks のイ氏とGBの百合本氏が隣同士に着席し挨拶を交わしたことに始まる。VIPルームでイ氏は百合本氏と名刺を交換した瞬間、「今こそ、5Rocks に投資する価値があることを説明しなければ」と感じた。その場で、学生時代に習得した日本語で、百合本氏にピッチしたのだそうだ。

次の日、GBの百合本氏は東京のGB本社に「韓国でとんでもないスタートアップを見つけた」とメールし、beLAUNCH と並行して、打合せや投資話が繰り返された。beLAUNCH がもたらした偶然の出会いは、イ氏のスタートアップ精神と 5Rocks への情熱を受けて、成果を結ぶことになった。

韓国国内の起業やスタートアップ・カンファレンスが、スタートアップの世界進出に見える形で成果を出せたケースは珍しい。beLAUNCH は「韓国スタートアップの世界進出への橋渡し」というスローガンのもと、2012年にスタートしたカンファレンスだ。未熟な韓国のスタートアップ・エコシステムを発展に導きたいという理念で始まった beLAUNCH は、スタートアップの協力と情熱によって、まだ2回しか開催していないにもかかわらず、韓国最大・最高のスタートアップ・カンファレンスと評価されている。

beLAUNCH を主催する beSUCCESS 代表のチョン・ヒョヌク(정현욱)氏は次のように述べている。

韓国スタートアップにもたらしたかった成功が実を結び、胸がいっぱいです。今後、さらに韓国スタートアップの世界進出を促進するため、9月13日にアメリカ・パロアルトで beGLOBAL を開催する予定です。(関連記事

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世界進出に最適なしくみをつくる

beLAUNCH からの数ヶ月間、5Rocks はKDDIをはじめ、日本国内の多くのゲーム会社に会い、プロダクトや技術力、日本市場での可能性について、綿密な検討を行った。イ氏は、資金調達が決定するまでの経緯を次のように語る。

週に3〜4回、日本と韓国を行き来しながら、数百回に及ぶフィードバック/修正を繰り返しました。朝8時半に韓国発の飛行機で日本に到着すると、タクシーに乗って11時の会議に向かい、汗をかきながら事業説明をしました。日本の投資会社だけでなく、サンフランシスコで開かれた GDC(Game Developers Conference)をはじめとする海外カンファレンスにも参加し、モバイルゲーム会社の前で、数百回におよぶピッチを行い、その都度、フィードバックと修正を繰り返しました。

5Rocks は世界進出の準備ができている会社だ。会社設立当初から、常に日本や中国を行き来しながら、経営や運営に問題の出ない完璧なしくみを整えている。経営チームや従業員の、サービスに対する正確な理解、ビジョンに対する信念、世界進出成功にかけた情熱が、そのしくみを実現させた。イ氏は次のように付け加えた。

5Rocks は設立当初から、本社と海外の経営システムの構築を完璧にしました。経営チームが海外出張で不在でも、メールや Skype で仕事がアサインされ着実に進行します。従業員に仕事を与えない会社は絶対に作らない。従業員にとって、やる仕事が無い会社ほど、仕事していてつまらない会社はありませんから。

話をすること、信念を貫くこと

今回の資金調達で、イ氏の堪能な日本語力が有効に働いた。彼はかつて、東京工業大学で交換留学生として学んでいた頃、日本語が不自由で友人ができなかったため、大学での生活に苦労したと述べている。

留学のときは、日本には平仮名だけ覚えて行きました。しかし、空港を出てから大学に車で向かう途中、看板を見ていて、一つも平仮名が見当たらなかった。私の知っている平仮名より、むしろ、ハングルがたくさん書かれているくらいで(笑)。大学での生活は大変でした。想像していたよりも日本のクラスメートは英語が話せず、友達もできませんでした。血のにじむような努力をし、それまで作ったこともない単語帳を作り、日本語を覚え、そして、友達に教えてもらう…というのを繰り返したんです。

6ヶ月におよぶ努力の末、イ氏は日本語で行われる講義を問題なく受講できるようになり、その後も着実に日本語を学び身につけた。

今回の資金調達の過程で、イ氏は日本で行われたピッチの多くを英語ではなく日本語で行った。また、かつて、日本のオンラインゲーム会社ゲームオンで働いた経験をもとに、日本人の働き方やビジネス流儀を十分に理解していたイ氏の姿勢は、日本の投資家たちの心に誠実に通じた。

今回の資金調達の課程で、日本の多くの会社と会い、5Rocks のようなBIの必要性が非常に高くなっていることがわかりました。今回の調達をきっかけに、9月1日から日本のモバイルゲーム企業5社(PokelaboMyNetMutations StudioKLabNewsTech)にクローズドベータ版サービスを提供します。

今回の 5Rocks の日本での資金調達をはじめ、より多くの韓国スタートアップが海外進出で成功するニュースに期待したい。

【via BeSuccess】 @beSUCCESSdotcom

【原文】

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