本稿は、12月8日にグローバル・ブレインが東京で開催した、Global Brain Alliance Forum 2017 の取材の一部である。
東京に拠点を置くベンチャーキャピタルであるグローバル・ブレインは9日、都内で Global Brain Alliance Forum (GBAF) を開催した。この中で、バンコクに拠点を置く決済スタートアップで、独自仮想通貨 OmiseGo を展開する Omise らと共同で、ブロックチェーンプロジェクトに特化したファンドを組成すると発表した。運用額は数百億円程度になる見込みだ。
グローバル・ブレインは今年9月、Omise や OmiseGO の創業者兼 CEO である長谷川潤氏のほか、Ethereum Foundation の元アドバイザーで現在は OmiseGo のスペシャルアドバイザーを務める Thomas Greco 氏らとともに、ブロックチェーン・エコシステムの醸成に向けた新会社 GB Blockchain Labs(GBBL)を設立している。Omise は今年7月、ICO で2,500万ドルを調達しており、この金額は同社にとって、VC からの調達総額である2,000万ドルを上回っている。
GBAF では、グローバル・ブレイン代表取締役社長の百合本安彦氏が、現在運用中のファンドの状況を説明。KDDI と運用する KDDI Open Innovation Fund では韓国スタートアップへの出資を強化していることや、三井不動産と運用する 31 VENTURES Global Venture Fund からは、イスラエルの建設業向けドローンソフトウェア開発スタートアップ SiteAware(投資時の社名は Dronomy)への投資実績などが披露された。昨年発表した GB-Ⅵ号ファンドについては、LP(リミテッドパートナー)12社から約200億円を集め、今年6月に調達をクローズしたという。
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同社のこれまでの投資先についても、Loco Partners(イグジット先は KDDI)、カブク(イグジット先は双葉電子工業)、Fluenty(イグジット先はサムスン電子)、August(イグジット先は ASSA ABLOY)など2017年には11社がイグジットを達成、IPO と M&A を含め、同社設立以来の累積イグジット率は42%に上ったことを明らかにした。
この日、GBBL にも関わる長谷川氏がプレゼンテーションを行い、Ethereum 関連ビジネスはまだ黎明期にあり、エコシステムを形成するためには、圧倒的に情報と技術者が不足していると強調。それを補うため、この分野のインキュベーションに注力するとし、グローバル・ブレインとブロックチェーン特化のコワーキングスペース事業を展開することを明らかにした。その第一弾は来春、渋谷から開始される予定だ。
(コワーキングスペースを)この分野の世界トップクラスの人々に出会える場所にしたい。(中略)
大企業の方々には、もちろん協賛してもらえるのもありがたいが、協賛だけでなくビジネスに積極的に利用してもらいたい。日本で生まれたプロジェクトを世界に持っていこうと思っている。バンコク、ベルリン、ポーランドなどにも出て行きたい。(長谷川氏)
長谷川氏の発言からは、このコーワキングスペースにはコワーキングのみならず、大企業でのブロックチェーン利用促進を意図したオープンイノベーションの文脈も伺い知ることができる。
なお、長谷川氏が Ethereum を積極的にビジネスに取り込むことになった契機については、THE BRIDGE に転載した彼のブログ投稿に詳しい。長谷川氏には、来年1月に東京で開催予定の THE BRIDGE イベント「THE COIN」にもキーノートスピーカーとして登壇いただく予定だ。
グローバル・ブレインのこれまでのブロックチェーン関連の投資先には、Bluzelle、Coins.ph、Digix、韓国のモバイル証券取引スタートアップ Dunamu(두나무)などがある。
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ブロックチェーンに関する世界の VC の動きを見てみると、著名な未来学者 Don Tapscott 氏の息子でベストセラー「Blockchain Revolution(邦題:ブロックチェーン・レボリューション、ダイヤモンド社刊)」の共著者である Alex Tapscott 氏が設立したブロックチェーン特化ファンド NextBlock Global が、年内にもトロント証券取引所に IPO する予定。ニューヨーク拠点のイーサリアム特化スタートアップ・スタジオ ConsenSys は今月初め、5,000万ドルの投資ファンドを立ち上げたほか、世界的大富豪で投資家の Mark Cuban 氏は、暗号通貨専門サイト Coinbase の元ビジネス開発マネージャー Nick Tomaino 氏が立ち上げた、2,000万ドル規模の暗号通貨特化ファンド「1confirmation」に出資したことが明らかになっている。また、サンフランシスコに拠点を置く Pantera Capital は今年6月、1億ドル規模の ICO ファンドを立ち上げている。
国内を見てみると、先週には B Dash Ventures が、1億500万米ドル相当を ICO で調達したブロックチェーンスタートアップの Quoine と共同で、ICO 特化ファンド「B Cryptos」をローンチしている。今後も日本内外の VC 各社から、仮想通貨、ICO、ブロックチェーンに特化したファンドの発表が相次ぐことが期待される。
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