家族向け写真共有プラットフォーム「KiDDY(キディ)」を展開する Compath Me(コンパス・ミー)は今日、ユナイテッドから5,000万円を資金調達したと発表した。同社は2011年に実施された、Open Network Lab のシードアクセラレータ・プログラム第2期から生まれたスタートアップで、これまでにシードラウンドで DGインキュベーション、アーキタイプ、ネットプライスドットコムから資金調達している。[1]
〝シックスポケット〟が創り出す、高収益ビジネス
同社は2012年12月に「KiDDY」をローンチし、昨年にはポストカードやフォトブックを印刷・製本し、定期的に届けるサービスを展開している。これまでに獲得したユーザは5万世帯、アップロードされた写真やコメントのエントリ件数は合計300万件に達しているが、今回の資金調達に踏み切った理由の一つに、創業者でCEOの安藤拓道氏は、マネタイゼーションの可能性に自信を持ったことを挙げている。
CEO 安藤拓道氏 我々が提供するサービスでは、ポストカードやフォトブックを1カ所〜3カ所まで届けられるのですが、3カ所に届けるプランを選ぶユーザが多いことがわかっています。子供の成長を撮った写真を、両親が自宅と、父方の祖父母宅、母方の祖父母宅に送っているのです。フォトアルバムでは、「お手軽ライト」という廉価版(1冊1,550円・送料別)に加え、「こだわりプレミアム」という銀塩プリント版(1冊3,100円)があるのですが、よく売れています。孫の成長を見たい両親の祖父母を巻き込んでいるので、一世帯あたりの客単価が非常に高い。
少子化社会では、一人の子供に対して、両親とその両親の祖父母という、合計6つのお金の源「シックスポケット」があると言われる。このシックスポケットの効果によって「KiDDY」は高収益が実現できるため、一般的なインターネット・サービスに求められるほど多くのユーザ数を確保しなくても、マネタイゼーションしやすいビジネス構造ができあがっている。
子供の成長記録ストレージから、家族情報のハブへ
ネットワークの中心に子供が居ると、その両親、その両親の両親と、家族を結ぶソーシャル・グラフが生成されていく。今後 KiDDY は写真ストレージとしての機能から、家族の To Do 管理や、家族が何をしているか、家族にとってのお得情報を共有するプラットフォームにしていきたいとしている。
一つの世帯に対して、家族の中の3〜4人がつながっているという感じです。もちろん、子供が生まれた後に夫婦が離婚・再婚したりすることもあるので、情報を共有する制御をユーザが決定できる機能も追加する予定です。
今回調達する資金は、このKiDDY のプラットフォームの機能拡充のための人材確保が主な使途だと言う。現在、彼らは CEO の安藤氏を含め4人のチームだが、COO やエンジニアを数名採用し、開発のスピードアップを図りたいとしている。
海外展開の加速
KiDDY を使うユーザの約20%は、日本国外からのアクセスだ。つまり、5万世帯のうち1万世帯が国外の市場から来ているわけで、サービスの海外対応は KiDDY にとって避けて通れない課題だ。
これまでポストカードのみ海外発送に対応し、フォトアルバムは日本国内のみの発送でした。でも20%も海外ユーザが居るため、印刷発送会社に無理を言って、フォトアルバムも海外に発送できるようにしました(6月第1週サービス開始)。送料は国内より少し高くなりますが、ユーザのニーズは大きいと思っています。
さらに、海外ユーザのユーザビリティを改善するため、KiDDY では現在提供している日本語と英語のインターフェイスに加え、7月からフランス語とドイツ語でサービスを提供する。Compath Me はこれまでに、パリの LeWeb や ダブリンの WebSummit など、ヨーロッパのスタートアップ・カンファレンスなどで積極的に登壇していることから、その結果として、この地域でのサービスの認知度が向上しているからだろうと、安藤氏は理由を推測している。
この分野には、Kazoc、Nicori、BabyDays、ikumemo、Wellnote などの競合が存在するが、iTunes AppStore 上のレビュー数や平均得点で KiDDY が群を抜いている。今後はユーザの満足度を高め、国内/海外共にシェア1位を目指し、2015年中にユーザ数100万世帯の到達を目指している。
- Open Network Lab はデジタルガレージのインキュベータであり、DGインキュベーションはデジタルガレージのスタートアップ投資部門である。ネットプライスドットコムのスタートアップ投資部門は、現在は Beenos と名前を変えている。 ↩
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