8回目を迎えた「明星和楽」のテーマは融合——国や地域、世代、業界を超えた参加者が福岡に集まる

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2018.5.5

2011年にスタートした明星和楽は、早くも8回目を迎えた。SXSW(サウスバイサウスウエスト)にヒントを得て、街を舞台にイノベーションを盛り上げようと始まったこのイベントは、福岡を飛び出して台北・ロンドン・高雄などでも開催。国際色豊かなスタートアップシティとしての福岡を作り上げるのにも、一役買っているようだ。

Fukuoka Growth Next 玄関
Image credit: Masaru Ikeda

奇しくも、福岡の一大スタートアップ拠点となった Fukuoka Growth Next は創設から1周年を迎え、これまでに170社超のスタートアップや団体が入居し、そのうち19社が合計37億円を調達するまでに成長した。先月発表されたヤマップのシリーズ B ラウンド調達は、この合計金額をさらに押し上げることになるだろう。

入口では「明星和楽ソーダ」が販売
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福岡は他の地方都市にもインスピレーションを与えている。札幌では、NoMapsOpen Network Lab の活動が開始され、MakuakeMobike といった象徴的なテクノロジー企業の街へのインストールが始まった。神戸では先週開催された 078Kobe市が支援するスタートアップアクセラレータが開始され、沖縄ではスタートアップカフェコザなどを中心に、地域の起業家コミュニティが醸成される機運が高まりつつある。

下関名物の瓦そば。明星和楽で火がついて、全国展開なるか。
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「大人の文化祭」をうたう明星和楽には、イベント期間中、参加者の空腹を満たしてくれるキッチンカーや出店(でみせ)の存在は欠かすことはできない。今回は、チュロスやソーダといった明星和楽特製アイテムに加え、山口・下関名物の瓦そばが関門海峡を超えてやってきていた。抹茶の練り込まれた蕎麦に、レモンやもみじおろしが聞いたこの郷土料理は、「逃げるは恥だが役に立つ」で紹介されたのを機に各地でブレイクしている模様だ。

開会宣言する実行委員長の松口健司氏
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明星和楽の実行委員長は昨年以降、前任の橋本正徳氏(ヌーラボ創業者兼代表取締役)から現任の松口健司氏(サイノウ)に引き継がれた。松口氏は現役の大学生だったが、この春で無事に卒業。長崎の実家を離れ、大学生活のために福岡を拠点に活動していたが、卒業後も福岡でスタートアップ支援を続ける意志を固めたようだ。明星和楽に関わるボランティアメンバーの顔ぶれもまたそうだが、初回開始から8年目を迎え世代交代の波が訪れつつある。

基調講演を行った、エメラダの古川直樹氏(右)。モデレータを務めたのは、明星和楽の前実行委員長でヌーラボ代表取締役の橋本正徳氏(左)。
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オープニングの基調講演のスピーカーを務めたのは、エメラダの古川直樹氏だ。古川氏は、アメリカ、中国、イギリス、日本における、エクイティによる資金調達と株式型クラウドファンディングの比較、中小企業の融資残高とオンラインレンディング残高の比較を示し、インターネットを通じた企業向けの資金供給事業に大きな市場機会が潜在していると述べた。

BEENEXT の前田ヒロ氏
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iSGS インベストメントワークスの佐藤真希子氏(左)と、ABBALab の小笠原治氏(右)。
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投資家セッションには、BEENEXT の前田ヒロ氏、ABBALab の小笠原治氏、iSGS インベストメントワークスの佐藤真希子氏が登壇。潜在起業家と思われる聴衆からは、事業を始めたときや資金需要が出てきたときなど、どのタイミングで投資家に連絡を取ったらよいかとの質問が寄せられ、3人の投資家からは、具体的な資金需要が出てくる時期を待たずに、ななるべく早い段階から投資家らとのコミュニケーションをとったほうがいいだろう、との提案があった。

学生ハッカソンのプレゼンテーション
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明星和楽の最終日の一週間前からは九州の大学生が即席チームを編成し、企業がもつ課題解決に主眼を置いたハッカソンが開かれた。昨年あたりから、この種の企業提案による課題解決型ハッカソンや PBL(問題解決学習 )を教育現場などに取り入れる傾向が全国各地で散見されるようになった。

学生と市長との対話会
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ハッカソンに加え、起業意識を持つ学生(高校生や大学生)らが福岡市長の高島宗一郎氏と対面し、自身の夢や福岡に対する思いを披露する機会も持たれた。福岡市はかねてから、学生起業家向けの奨学金制度を運用するなど、学生からの起業家育成にも積極的だ。九大起業部F Ventures のスタートアップ投資部などからも多数が参加していたようだ。

左から:ginco の森川夢佑斗氏、近畿大学教授の山﨑重一郎氏、nayuta の森山瞳氏ミスターエクスチェンジの波止紗英氏
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ginco の森川夢佑斗氏、近畿大学教授の山﨑重一郎氏、nayuta の森山瞳氏を交えてのブロックチェーンに関するセッション。モデレータは、ミスターエクスチェンジの波止紗英氏が務めた。ブロックチェーンが将来実現できることの可能性、Proof of Work などに対する解釈が、各者各様で興味深い内容となった。

Taiwan Startup Meet-up
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福岡市はかねてから台湾スタートアップの招致活動に積極的だが、今回の明星和楽は SLUSH Tokyo の直後に開催されたこともあり、SLUSH Tokyo に参加した台湾スタートアップが台湾への帰路で福岡に立ち寄り、明星和楽に参加した。台湾スタートアップ総勢10社が Taiwan Startup Meet-up に参加。

PhotoMusic
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レゲエミュージシャンの DOZAN11(ex. 三木道三)氏が先ごろ開発した面白いソフトウェアを紹介してくれた。その名前はシンプルに「PhotoMusic」。写真を読み込ませると音楽が演奏される。透明の部分と白色の部分には何も存在しないとみなし、それ以外の部分を色に応じて音楽を奏でてくれる。

左から:GMO ペパポ 代表取締役の佐藤健太郎氏、福岡市長の高島宗一郎氏、菅本裕子氏、明星和楽実行委員長の松口健司氏
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トリを飾ったのは、イベントへの協賛をはじめ明星和楽を初回から応援しつづけている GMO ペパボ代表取締役の佐藤健太郎氏、HKT48 卒業後 Instagram でフォロワー数35万人を抱えるインフルエンサーに転身した「ゆうこす」こと菅本裕子氏を交えてのスタートアップセッション。

高島氏は7年前に始まった明星和楽が、現在の福岡におけるスタートアップコミュニティの発展のきかっけになったと強調。また、今年9月には9回目となる明星和楽が開催されることも発表された。

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