台湾AppWorks(之初創投)が第17期デモデイを開催——スタートアップシーンのトレンド変化に対応、東南アジア市場攻勢を強化

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台湾のスタートアップアクセラレータ AppWorks(之初創投)は11月8日、第17期のデモデイを開催した。今回のバッチは、AppWorks が AI やブロックチェーンスタートアップの育成に特化するようにピボットしてから最初の回となる。

AppWorks のピボットは、市場状況や技術動向の変化に由来するものだ。AppWorks 創業パートナーの Jamie Lin(林之晨)氏はインドネシア・ジャカルタに活動の拠点を移し、自身の半分の時間を東南アジアの新興市場開発に費やした。彼は GSEA(Great South East Asia、大東南アジア圏)という考え方を提唱し、台湾が東南アジアの市場とのシナジーを強化すべきだとしている。

次世代の台湾ビジネスパーソンとは、東南アジアへと向かう起業家たちのこと

この文脈から考えると、新起業家とは次世代の台湾ビジネスパーソンであり、新しい市場が開かれるにつれ、長年にわたって積み重ねられた AppWorks エコシステムの影響力は、雇用創出の資金調達の両方の点で次第に改善されている。市場影響力についても、AppWorks が輩出したスタートアップによる努力の成果が明らかになってきた。

AppWorks 卒業生の EZTable(易訂)は東南アジアへの市場参入を開始し、インドネシアに本社を設立した。ドラマ制作プラットフォーム「CHOCO TV(今年8月、NAVER と LINE の Mirai Fund から1,000万米ドルが注入され、LINE TV となった)」の自社制作ドラマは東南アジアで非常に人気があり、映画やテレビエンターテイメントへの事業拡大のため、LINE と協力する。スペース探しとレンタルプラットフォームの「Pickone(挑場地)」は新たな資金調達ラウンドの後、東南アジアに市場拡大し、この地域でのスペースの取扱を始める。

これまでに、AppWorks は自らのエコシステム全体で、活動中のスタートアップ328チーム、起業家925人を輩出している。輩出した全スタートアップの年間総売上高は25億米ドルに上り(前年比90%増)、全従業員の総和は9,586人(前年比67%増)、全スタートアップの調達金額総和は8.06億米ドルで(前年比82%増)、その累積調達額は36億米ドルを突破した(前年比127%増)。

台湾スタートアップシーンのトレンド変化に対応、次なるスタートアップトレンドを探して

当初は e コマースやオンラインサービス、現在では AI やブロックチェーンと、AppWorks の育成特化分野は、台湾のスタートアップエコシステムの変化を反映している。Jamie Lin 氏は、次のように指摘した。

10年間にわたって進展してきたモバイルインターネットは、直近の1年で飽和したように思える。一方、さまざまな主観的および客観的条件が成熟したことで AI やブロックチェーン時代への突入が促され、本格的な次なる2つのメガパラダイムになりつつある。

今回のデモデイには25チームが登壇し、そのうち、17チームが AI/IoT 関連スタートアップ、8チームがブロックチェーン/仮想通貨関連スタートアップだった。チームの国際化が進み、香港、タイ、ベトナム、スリリらんか、アメリカなどから参加があった。参加チームの中には、eBay、HTC、Asus(華碩)、Proofpoint の元幹部や、Y Combinator の卒業生もいた。

登壇チームの中から、TechOrange が選んだ優れたチームを以下に紹介する。

Aniwear

Aniwear の創業者は香港出身で、医療関係のバックグラウンドを持つ。ペットの医療ケアに特化した世界初の獣医循環器向け AIoT プラットフォームで、ペット用小型ハンドヘルド心電検測デバイス「CardioBird」を開発している。ペットの心拍数を計測するには獣医が4人がかりで1時間かかるが、CardioBird を使えばペットオーナーでも脈を見つけてから30秒で計測が完了し、ペットの病気予防に必要なコストや時間を大幅に減らすことができる。計測されたデータは AI 分析され、ケアのアドバイスが提供される。プロダクトはソフトウェアとハードウェア共に無料で提供され、レポートが発行される毎に料金が発生するビジネスモデルだ。香港、台湾。台湾などに市場展開している。

Ocard

Ocard は、ユーザデータを AI 分析する CRM システムで、ケータリング業界の自動化を支援したり、リターゲティングを最適化したりする。プロダクトを会員システムやポイントシステムと組み合わせ、LINE や Facebook Messenger といった主要なソーシャルメディアを連携し、直接的な顧客管理が可能になる。現在、台湾に700社の有料ユーザがいて、この2年間で200万人の個人ユーザを獲得した。ユーザには、点心レストランチェーンのティムホーワン(添好運)、焼肉店のフートン(胡同)、イタリアンレストランチェーンの「Café Grazie(古拉爵)」などの有名飲食事業者がいる。ケータリング業界の競争が激しい台湾で、Ocard は複数のポイントシステムを統合、ギフトカードや航空会社マイレージを連携したプラットフォームに参入し、消費者の消費意欲を促進する。

Fitz(愛有気)

有名エアロビクスダンスコーチの Eddie Pan(潘若迪)氏と彼の技術チームが設立した Fitz(愛有気)は、10年以上にわたるヒューマンーコンピューターインタラクション開発の経験を有する。アプリ「Fitz Love Aerobic」は、オンラインのライブコーチクラスを提供し、独自の AI 画像解析技術を使って生徒がどのような動作をしたか解析することができる。アプリのダウンロード数ははローンチ以降4万件に達しており、ユーザのオンライン利用率は85%、また各クラスの生徒数はリアルで提供する場合の10倍以上に達した。

Xrex(阿碼科技)

国際的なデータセキュリティ専門家である、Xrex(阿碼科技)の創業者は、Proofpoint のグローバル技術担当 VP だった Wayne Huang(黄耀文)が率いるブロックチェーンスタートアップで、仮想通貨市場が抱える3つの問題点——透明性、コンプライアンス、データセキュリティデザインに取り組んでいる。リリースした Xrex Crypto Services(XCS)は、PaaS および SaaS モデルにより、仮想通貨市場の企業や団体向けに、構築や運用サービスを提供する。機能別にモジュール化しているため、ユーザは必要に応じてさまざまな API をインストールすることが可能。

oToBrite(欧特明電子)

oToBrite(欧特明電子)は、Altek(華晶科技)、Asus(華碩)、HTC といった企業でエグゼクティブを務めた技術のベテランらにより共同設立。先進運転システム(ADAS)や自社カメラ製造工場に特化している。5年前に設立された oToBrite は、新竹サイエンスパークに本社を置き、120名の社員が勤務している。2018年、中国の新興 EV メーカー Xpeng Motors(小鵬汽車)のカメラ撮影による自動駐車システムは、oToBrite の技術を採用している。Haitec(華創車電)と共同開発した、自動車を透過して見られる AR View 機能により、テクノロジー界のオスカー賞と言われる R&D 100 Awards に入賞した。総合的な実力を持ち合わせた、台湾の AI 領域における明日の星だ。

RelaJet

RelaJet は、補聴器、ヘッドフォン、テレビ、携帯電話、スマートスピーカー、IoT デバイス向けに、多重音声の中から必要な音声だけを分離し認識するエンジンを開発している。創業者の Blue 氏自身、先天的な聴覚障害者であるため、日常のコミュニケーションの中で生じる問題をよく理解している。例えば、複数の人が同時に声を発したとき、それぞれの人の声の周波数や音量が似ていると、補聴器から聞こえる声ではどの声が誰のものかわかりにくくなり、聴覚障害者にもは問題が生じてしまう。これこそが、RelaJet を創業した理由だ。

OxygenAI

OxygenAI の創業者はタイ出身で、イギリスのオックスフォード大学と UCL(Unversity of College London)の技術学部出身。OxgenAI のチームは主にタイ市場に特化しており、AI 画像認識技術を使った行動データの認識・収集により、政府省庁、小売業、屋外広告などを支援する。例えば画像認識により、路上における赤信号の認識や、ヘルメット非着用の違反者の発見が可能にあり、交通警察の業務簡素化に貢献できる。

【原文】

【via TechOrange】 @TechOrange

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