創業から1年で利用数1,000万件超えーーベルリンの電動キックボード「Tier」が6,000万ドルを調達

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Image Credit : Tier

ピックアップ:Berlin’s Tier Mobility scoops up $60M as its scooter-based transportation service passes 10M rides

ニュースサマリー:10月7日、西ヨーロッパ全域にサービスを展開するベルリン拠点の電動キックボート「Tier」がGoodwater CapitalやMubadala Capitalなどを含む計12の投資家から合計6,000万ドルを調達した。

リード投資家のMubadala Capitalは、Tierが唯一欧州外部でサービスを提供する都市アブダビ拠点のVC。欧州投資のためSoftbankから4億ドルのバックアップを受けている。

今回の調達資金は、より管理・維持コストのかからないスクーターの開発・提供に投入するとしている。現在使用されているスクーターの80%が利用寿命約18カ月とされているため、数年以内にそのほとんどがニューモデルへと交換される可能性が高い。

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Image Credit : Tier Instagram

話題のポイント:同社は2018年7月に創業し、わずか1年と3カ月という短い期間で累計9,100万ドルを調達しています。実際、これまで計2万台に及ぶスクーターを西ヨーロッパを中心とした12の国(40都市)で提供。利用件数は1,000万件を突破しています。

Tierが短期間で巨額の資金を調達する一方、米国の電動スクーター・ユニコーン「Bird」もヨーロッパ展開を開始しています。拡大スピードはBirdも非常に早く、創業2017年にも関わらず、2018年までに2億5,000万ドル近く調達しています。

また、ベルリン市内には他にもシリコンバレー発の「Lime」、地元ベルリン拠点の「Cric」、ストックホルム発の「VOI」が存在しており、既に熾烈なマーケット競争が勃発しています。過密する新興市場の今後に一層注目が集まります。

マーケット競争が加熱化していくと共に、現在電動キックボード市場で深刻化する交通事故問題と、それに関連する法令への対応を行なっていく義務が発生します。Tierはこれまで約250件の事故を発生させてしまっていますが、CEOのLeuschner氏はその件に関し以下のようにコメントしています。

他競合サービスと比較すれば、Tierにおける重大な事故は少ないといえます。そのため安全面において、Teirは電動スクーター・マーケットを牽引していると自負しています。私たちはこれからもユーザー教育を続け、全てのドライバーに対し保険を提供していきます。

電動スクーターは街中に乗り置き場が設置され、かつアプリから簡単に利用を開始できます。加えて、街中の至る所で自由に乗り降りができる上に価格もリーズナブルであることから、既存の移動手段の弱点をカバーする新しいモビリティとして非常に注目されています。

先述したように、新興サービスであるだけに、安全性やそれに絡む規制に関して懸念点が多々存在することは否めませんが、今後市民のメジャーな移動手段の一つになることは間違いはないでしょう。Teirは欧州圏における筆頭のスタートアップであり、今後もその躍進が楽しみです。

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