UI/UXデザイン・スタートアップのグッドパッチが、デジタルガレージから1億円を資金調達

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2013.12.9

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東京を拠点に UI/UX デザインに特化したサービスを提供するグッドパッチは、デジタルガレージ(東証:4819)の投資子会社 DG Incubation から1億円を資金調達したと発表した。

グッドパッチは2011年8月に設立され、ニュースキュレーション・アプリ Gunosy の UI/UX デザインを担当したことで、東京のスタートアップ・シーンではよく知られている。社名は、サンフランシスコのインキュベーション・スペース Dogpatch Labs に由来する。ベンチャーキャピタルをはじめとする投資家は、スケーラビリティが認められるビジネスに投資するのが一般的で、自らサービスを持たず、スタートアップからの受託業務を生業とするグッドパッチが資金調達に動いたのは、やや不可解にも思える。

同社の創業者で代表取締役を務める土屋尚史氏に、今回の資金調達の背景を聞くことができた。

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グッドパッチ代表取締役 土屋尚史氏

まず、資金調達した理由を教えてください。プロダクトを持たず、受託サービスを提供する企業が資金調達するのは困難ではなかったですか。

設立当初は受注を増やすのに苦労しましたが、昨年6月に江口さんに書いてもらった記事によって、Gunosy のデザインをグッドパッチが担当していると広く知れ渡り、それ以来、受けきれないくらいの仕事が舞い込むようになりました。利益が出るようにはなったのですが、結局、多くが税金で持っていかれ、次のビジネスを興すためにお金を貯めるには、想像以上の時間がかかるものです。

私も当初、受託会社が投資を受けられるなんて思っていませんでしたが、そんな中、アドバイザーになってもらっている Sudax(須田仁之氏)から「投資を受けられるよ」という話を聞き、デジタルガレージの名前が上がりました。

デジタルガレージは、林郁さんや伊藤穣一さんが一から作った会社で、ウェブの制作会社から始まって、今や世界的なインターネット企業になりました。グローバルを目指したいグッドパッチにとっては、目指すべき一つのロールモデルです。ぜひデジタルガレージから投資を受けたいと思いました。デジタルガレージは事業会社なので、IPO や M&A 以外にも多くのイグジット手段を持っています。

では、デジタルガレージからの出資を通じて、どのようなことを期待をしていますか。

実質的にここまで一人で会社を切り盛りしてきたので、このままだとすぐに限界がやって来るのもわかっています。そういう点では、外部からいろいろな知見を得たいと思っているのです。

また、デジタルガレージは昨年11月、企業や政府向けに UX を専門に手がける Neo(当時 New Context)を買収しています。同社は世界中にサービス拠点を展開していますが、デジタルガレージとの関係を通じて、グッドパッチは彼らとも協業しやすくなり、サンフランシスコの先進的な UX のノウハウを吸収して日本市場に提供できると考えています。例えば、数ヶ月単位で社員をサンフランシスコに派遣し、彼らに UX/UI の最先端に触れられる機会を作れば、当社にはより多くの素晴らしい社員が集まってくれるでしょう。

我々は現在、クライアントからウェブサービスやアプリ制作を受託するのではなく、クライアントと一緒になって、彼らのプロダクトを作る形を取っています。市場に受け入れられる可能性が無いコンセプトについては、クライアントの要望を断ることもあります。そういうことができる人材を多く集め、ひいては、日本の UI/UX のレベルを底上げしたいと考えています。


グッドパッチは、年内にも UI/UX 改善に特化した新しいサービスのクローズドベータ版をローンチ予定だと教えてくれた。今回の資金調達は、主にこのサービスの開発や展開強化に使われるものと考えられる。

土屋氏はグッドパッチを始める前、サンフランシスコのデジタルエージェンシー btrax でインターンをしていた。そのときのボスである、btrax CEO の Brandon Hill から今回のデジタルガレージからの資金調達について、メッセージをもらったので、ここに掲げておきたい。

かつてのインターンの一人が成功するのを見ることは非常にうれしい。土屋氏は輝かしい経歴を持っていたわけではないが、今回の資金調達を受けて、起業家に必要な要素は、パッション、勇気、行動、決断だということを示してくれたようで、少し妙な気分だ。2012年の大変な状況から持ち直したことに、彼を賞賛したい。1年以上前、彼は共同創業者、スタッフ、顧客を失うことがあった。私は彼にどうするのか聞いたことがあるが、彼が返す答はただ「あきらめない」という一言だけだった。現在では社員数が30名を超え、彼はまさに真のビジネスを作りだそうとしている。

ペンは剣より強しとは言えど、一ブログが実業に大きな影響を及ぼす可能性については、筆者は懐疑的だった。ただ今回、自分達の書き物が、瀕死の状態で喘いでいたスタートアップの生命を救ったと当事者から聞くことができ、手前味噌ではあるが、この喜びは何事にも代え難い。

グッドパッチがローンチを準備している新サービスについては、情報が入り次第、詳細をお伝えする予定だ。

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創業から2年が立ち、社員数は30人を超えた。
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所狭しとボードに貼られた、UI/UX 改善のアイデア。

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