日本のスタートアップなど20社、MWC併設イベント「4YFN」に参加——ピッチショーケースイベントも満員御礼

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4YFN 会場内
Image credit: Masaru Ikeda

2月25日〜27日、スペイン・バルセロナで約2万人が訪れるスタートアップイベント「4YFN」が開催された。このイベントは約10万人が訪れる MWC(旧称:Mobile World Congress)のサイドイベントとして、イスラエルの起業家・投資家 Yossi Vardi の声掛けにより2013年から開催されている。昨年はアクアビットスパイラルズ代表取締役の萩原智啓氏の働きかけにより、有志スタートアップ7社が〝自腹を切る〟形で「Japan パビリオン」が開設されたが、昨年の実績を元に JETRO(日本貿易振興機構)の支援が得られ、今回は20社ものスタートアップや中小企業が参加することとなった。

現地メディアの取材を受ける FUKUSHIMA Wheel の山寺純氏
Image credit: Masaru Ikeda

参加したのは、高感度ウエアラブルカメラの Infinitegra、電子部品メッキ加工の三ツ矢、ケンコーコムの後藤玄利氏や Snapee の神尾隆晶氏らが率いる多言語同時翻訳の Kotozna、なくしもの防止や認知症患者予知の George and Shaun、屋内ドローンソリューション提供の Spiral関連記事)、IoT サンプル向け筐体開発のテクノラボ、AR 会議室のピスケス関連記事)、スマホ向け画像解析 SDK 開発 の pop inc、衛星データ分析の Sigma-SAR、オーディオ用高音質半導体を開発する Trigence、生体電極センサー開発のアイ・メデックス、写真整理サービス開発のパブセン、自転車の車輪 LED 広告 FUKUSHIMA Wheel関連記事)、「スマートプレート」開発のアクアビットスパイラルズ関連記事)、音声による感情解析 AI を開発する Empath関連記事)、モバイルアプリ開発クラウド「AppExe(アペックス)」提供の Mobilous関連記事)、マルチホップ技術でケーブル敷設無しの広域無線 LAN を実現する PicoCELA関連記事)、IoT ベンチャービルダーの Vanguard Industries、マシンラーニングニューラルネットワーク開発の SOINN、ロボット遠隔制御による家事手伝いサービスを提供する Mira Robotics

立ち見まで出た満員御礼の「Japan Innovation Showcase」。写真は、PicoCELA のピッチ。
Image credit: Masaru Ikeda

このうち、Empath、FUKUSHIMA Wheel、George and Shaun、Kotozna、PicoCELA、pop inc、アクアビットスパイラルズ、テクノラボ、Trigence の9社については、4YFN 会場内開催された「Japan Innovation Showcase」に登壇。200名程度が入れるカンファレンスルーム内は満席で立ち見が出る盛況ぶりだった。展示ブースが多く見るものを選ぶのに一苦労する MWC と異なり、4YFN はスタートアップが集積しているため、出資先のスタートアップを探す投資家やスタートアップと協業したい大企業を探す参加者にとっては効率的だ。韓国や台湾からも、それぞれ複数の政府系スタートアップ支援組織の支援を得、MWC / 4YFN 横断でそれぞれ100社以上のスタートアップが出展しており、現地ヨーロッパのスタートアップのブースに勝る存在感を放っていたのは印象的だった。

日本スタートアップのブース周辺。参加者がひっきりなしに訪れていた。
Image credit: Masaru Ikeda

4YFN に日本スタートアップを集める旗振り役となった萩原氏は、自身が 4YFN に参加するきっかけとなったのは、2017年に Alibaba(阿里巴巴)に買収されたイスラエルのスタートアップ Visualead との出会いだったと明かしてくれた。

Visualead のチームは、自活できるだけの国内市場がある日本とは対照的に、ローンチ当初から国外に活路を求め、最適な市場へと世界展開を進めるのは、イスラエルのスタートアップにとって宿命であると同時にごく普通のことだと教えてくれた。

日本のスタートアップにとっても、グローバル・エクスパンション(日本市場を立ち上げてから世界展開を目指す)ではなく、むしろ、グローバル・ファースト(日本市場での立ち上げを待たず、最初から世界市場に展開すること)が必要なのでは…(萩原氏)

今回の日本スタートアップの 4YFN 参加の動きには、日本各地のスタートアップやスタートアップ支援組織が同調、参加の意向も高まりつつあるようだ。来年以降、より多くのスタートアップが 4YFN に参加することが期待される。

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