
Image credit: Buff
営業顧問事業を提供する Buff は28日、シードラウンドでサイバーエージェント・キャピタル(CAC)から資金を調達したと発表した。調達額は開示されていないが、数千万円の前半程度とみられる。
Buff を創業したのは、神戸大学の起業家精神育成ゼミ出身で、DeNA でゲームディレクターなどの経験を持つ中内崇人氏。昨年8月から企業向けの営業顧問事業「Buff Sales」を提供している。ゲームに明るい読者であればご存知かもしれないが、Buff とはロールプレイングゲームなどで味方の攻撃力をアップするアクションの呼称に由来する。「ひとの成長を支援する事業がしたい」との思いから、この名前を選んだのだそうだ。
ところで、日夜売上を伸ばすべく奔走する営業パーソンが少なくない中、外部に営業顧問を頼む必要なんてあるのか、というのは筆者の抱いた素朴な疑問だ。営業の鬼とか、その道のベテランに経験談を聞くならまだしも、自社の経営さえままならない駆け出しのスタートアップにとって、果たして他社の営業顧問は務まるのだろうか?
しかし、論より証拠である。Buff の営業顧問サービスを受けた企業は事実売上を伸ばしており、昨年10月からの3ヶ月間で営業パーソン1人あたりの平均売上が3倍に伸びた顧問先もいるのだとか。Buff の顧問先は現在3社あり、そのうちの一つが THE BRIDGE でも何度か取り上げている、理系学生人材データベース「LabBase(ラボベース)」を運営する POL(ポル)である。

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大阪に、従業員の年収ランクで日本企業の1位、2位を毎年のように争っているキーエンスというセンサー大手企業がある。同社の営業パーソンは一人当たり売上が高いことでも知られるが、中内氏の身近にいた営業パーソンの行動を観察したところ、一見すると個人プレイに見える営業という業務が、実は環境要因やチームの力で成長しているケースが多いことがわかったのだという。営業を成長させる仕組みをプログラム化できないか、という思いから Buff の営業顧問の事業がスタートした。
Buff が営業顧問の活動でフォーカスしているのは3つ。
- 量と質の水準を上げる……お客との接触面積の最大化
- 記録文化の普及……自分たちでコントロールできる KPI、売上につながる KPI を設定し、記録する。記録することで、売上が悪い場合は何が悪いいのか、売上を伸ばせている営業パーソンがなぜ売れているのか、わかるようになる。
- ネクストアクション……組織全体で見つけた、やれば良いことを共有し、それをみんなでやるという文化を作る。

ごく当たり前のことだ。ただ、ごく当たり前のことができていない人が多いのもまた世の常。これらをごく当然にやるという風土を顧問先に根付かせるのが Buff が提供するサービスの真骨頂だ。今のところ、中小企業やベンチャー企業に受け入れられやすいとのことだが、大企業は営業パーソンが多い分、一人当たりの売上が上がれば会社全体としての上向の振れ幅が大きくなるので、中内氏は大企業も顧客に捉えることを期待している。
Buff は今回調達した資金を使って営業顧問に特化した SaaS を開発する。これまでに開発した営業顧問ノウハウを実証すべく、顧問事業を 10業種 × 1業種あたり10社 くらいにまで拡大しつつ、事業をよりスケーラブルにするためツール開発に注力する。この SaaS は早ければ、今年4月中にもローンチされる見込みだ。
Buff では現在、同社の営業顧問サービスを希望する企業と合わせ、営業顧問事業に興味のある人材を募集している。
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