チャットボット基盤「fanp(ファンプ)」開発のZEALS(ジールス)、藤田ファンドらから3.5億円を調達——チャットコマース・海外事業に注力へ

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ZEALS チームの皆さん。2018年12月、同社が都内で開催した「INTERFACE SHIFT 2018」で。
Image credit: Zeals

LINE や Facebook メッセンジャーを使った対話型広告/チャットコマースプラットフォームの「fanp(ファンプ)」を提供する ZEALS(ジールス)は1日、サイバーエージェント(東証:4751)などから3.5億円を調達したと発表した。サイバーエージェントは、同社代表の藤田晋氏が若手経営者の応援を目的としたシード・アーリースタートアップ向けの投資イニシアティブ、いわゆる「藤田ファンド」からの出資だ。既存株主のうち、ジャフコ(東証:8595)なども追加出資に賛同したとみられる。

同社はこれまでに、2015年1月にシードラウンド(調達額非開示)、2017年5月にシリーズ A ラウンド(8,000万円超調達)、2018年1月にシリーズ B ラウンド(4.2億円調達)を実施しており、合計調達金額は約8.5億円に上るとしている。今回のラウンドは、敢えて調達ラウンドを定義づけるなら、シリーズ B 後のブリッジファイナンス的な位置付けのようだ。ZEALS 創業者で CEO の清水正大氏は、THE BRIDGE のインタビューに対し、

ビジネスは順調に伸びていて、もともとは黒転(黒字転換)してから、さらに注力する予定だった。ただ、自身の起業のきっかけの一つにもなった藤田さんとのご縁があったので、出資をお願いさせていただくことにした。今回の出資を受けて、当初の予定を前倒しし、来期には二桁億円の売上を狙いたい。

……と事業加速への意気込みを語った。

ZEALS は2014年4月、会話型ロボットソフトウェアの開発などを主事業として創業。2017年5月、チャットットボット管理ツールとして「fanp」を正式ローンチするも、その後、チャットボットによる対話型広告に事業をピボットした。2018年には、LINE が API 公開したのを受けて、LINE 上で対話型広告を展開できる「fanp for LINE」をローンチ

fanp を使った E コマースの画面遷移
Image credit: Zeals

当初は Facebook メッセンジャー上で始まった fanp も、現在では全体の7割を LINE が占めるようになった。もっとも、fanp を LINE で使うか、Facebook メッセンジャーで使うかは、顧客企業がターゲットとする世代や商材などによっても分かれるようだ。通販、Eコマース、人材サービスなどに広く受け入れられ、fanp がもたらす効果から顧客が顧客を紹介してくれる形で、急速に顧客を拡大しているようだ(エンドユーザの数としては、のべ40万人に達していることを ZEALS は明らかにしている)。

ZEALS は、シリーズ A ラウンド、および、シリーズ B ラウンドでフリークアウト・ホールディングス(東証:6094)から出資を受けている。この段階では、ZEALS はまだ fanp for LINE をローンチしていなかったわけだが、フリークアウトからの出資をベースとした協力関係は、ZEALS の国際展開にかなり有機的に機能することになりそうだ。

LINE が人気を獲得しているのは、日本以外では、台湾、インドネシア、タイが3トップである。WeAreSocial と HootSuide が行うソーシャルネットワークサービス利用の統計でも、バンコク、ジャカルタ、ホーチミンシティなどは、常に Facebook ユーザの利用が多い都市の上位にランクされている。

ZEALS はタイやインドネシアへの現地進出を表明しており、フリークアウトがクロスボーダー事業として展開する UltraFreakOut や Rigoletto などが持つ現地拠点をフルに活用することができるだろう。なかでも、タイではチャットコマースの文化が定着しており、この点は fanp との親和性が非常に高いことが期待できる。

今回出資した、サイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏。
Image credit: CyberAgent

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