TechNode主催Asia Hardware Battle 2019、日本予選の結果を発表——スマートアパレル開発のXenomaが10月開催の上海本選に出場へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.9.11

Asia Hardware Battle は THE BRIDGE のメディアパートナーでもある中国のテックメディア TechNode(動点科技)が開催するピッチコンペティションだ。2016年から中国四川省の成都や上海などで開催されており、今年で通算4回目を迎える。11日、TechNode はサムライインキュベートと共同で、東京・五反田のイノベーションスペース「DEJIMA」で日本予選を開催し、日本のスタートアップ11社がピッチした。

東京で行われた日本予選では、イノベーション性、課題認識、ビジネス性、持続性、技術的価値、デザイン性の6つの審査観点で審査された。

日本予選の審査員を務めたのは、

  • Gang Lu (盧剛)氏(TechNode=動点科技 創業者兼 CEO、TechCrunch China 代表)
  • 鎌田富久氏(TomyK 代表、ACCESS 共同創業者)
  • 丸幸弘氏(リアルテックファンド共同代表、リバネス代表取締役 CEO)
  • 中馬和彦氏(KDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部部長)
  • 李申氏(華為技術日本 キャリア事業グループ 技術戦略部部長)
  • 岡島康憲氏(岩淵技術商事 執行役員)
  • 榊原健太郎氏(サムライインキュベート 創業者 代表取締役 共同経営パートナー)

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日本・中国・台湾・韓国・タイ・シンガポール・インドネシア・マレーシア・インドを拠点とし、今年の Asia Hardware Battle の4つの募集テーマ「AGRITECH」「HEALTH」「SMART HOME」「5G RELATED」のバーティカルに属するハードウェア・スタートアップが対象。

各国選出のファイナリストチームは、10月25日に上海で開催される Asia Hardware Battle の本選に招かれ、そのピッチの審査結果をもって、上位入賞者には AHB Gold(賞金50,000元)、AHB Silver(賞金30,000元)、AHB Bronze(賞金10,000元)が授与される。

また、上位3チームには NodeVenture による VC MEETUP PRO および FA サービス、TechNode が上海で展開するコワーキングスペース「NodeSpace(動点加速器)」で半年間7人分のオフィススペース、ハードウェアアクセラレータ MAKEBATOR による支援パッケージなどが提供される。

【優勝】Xenoma

Xenoma が開発するスマートアパレル「E-skin」はモーションキャプチャーやトラッキングが可能で、スポーツやゲームだけでなく、医療や介護にも活用できる可能性がある。これまでは主にベビーモニタリング事業で売上1億円を達成しているが、ウエアラブルリストバンドと違って、高齢者にも受け入れてもらいやすいことから、ルームウェアとして使ってもらうことで転倒検出やリハビリ促進への活用を提案している。来年にはファッションブランドからルームウェアを発売予定。

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【Innovative 賞】AC Biode

AC Biode は、ドローン、モビリティ、再生可能エネルギーの蓄電用に世界初の独立型交流電池を開発。中間電極(Biode)を作ることで、直列接続・並列接続にも対応可能。電池そのものは既存材料・既存製造工程を応用しているため、リチウムイオン電池のみならず、あらゆる電池に適用が可能(空気電池を除く)。粒子加速器に使われている電気回路を応用しており、この点で特許を申請している。現在、技術協業先、パイロット試験の協業先を求めている。

【Audience 賞】エスイーフォー

宇宙産業、建設業界での利用を意図して、仮想空間を使ってロボットに行動の意味づけを理解させ学習させるプラットフォームを開発。既存の遠隔操作では遅延(レイテンシーやディレイ)の問題があり、また、AI を使った動作環境では、問題が生じた時に自律的にリカバリできない場合がある。エスイーフォーのプラットフォームでは、実際にロボットを置く環境をスキャンし、それを仮想空間に再現。仮想空間上で人間が行動をすることで、ロボットに対し操作すべき対象物の意味づけを効率的に行える。


ASTINA

ASTINA は、自動で衣類を折りたたみ収納するスマートタンス「INDONE(インダン)」を開発している。開発コストを捻出するために、映像認識など要素技術を使って大企業の PoC や開発案件を受託しており、INDONE 製品版は、リネン関連会社への導入からはじめ、最終的には高級マンションなどのビルトイン家具へと導入していく。ランドロイドなどと比べ、衣類の展開のみをロボットアームで行い折り畳みは独自機構を使っているため、技術的にシンプルで安価になるのが特徴。

PacPort

PacPort は、宅配便の再配達問題を解決するためにローンチされたスマートロックスタートアップ。ユーザは、同社が開発した IoT 宅配ボックスを玄関に設置。荷物の追跡番号をスマートロックの解鍵番号に使うことで、これまでの対面による配達を、宅配ボックスを使った非対面・投函受取にリプレイスする。配達までではなく、投函・受取状態を一貫して管理でき、宅配会社は一つの宅配ボックスに、同一受取人宛の複数の配達荷物を入れることも可能となり効率化が図れる。明日、クラウドファンディングをローンチ予定。

クォンタムオペレーション

非侵襲の小型連続血糖値センサーを開発している。糖尿病患者が、身体を傷つけずに血糖値を測定する手段を提供する。他社の仕組みでは、近赤外線光は血管(グルコース)を通過しないため、レーザを使ったセンサーを使っているケースが多いが、レーザを使うと効果になりデバイスが大型になる。クォンタムオペレーションでは、近赤外線光を使った指紋認証センサーで培った技術を応用し、近赤外線センサーでの血糖値測定を可能にした。データを活用し、大企業との協業でマネタイズを計画。

N-Sports tracking Lab

N-Sports tracking Lab の代表は、現役のウインドサーフィン選手。観戦がしにくい(遠くて誰かわからない、レーズ全体像が見えない)、コーチングがしにくい(自然環境の中でトレーニングするため、感覚に頼った指導になってしまう)といった、ウインドサーフィンに代表される広域スポーツの課題解決を目指す。トレーニング中の動きの見える化や数値化でより具体的なコーチング、選手に GPS デバイスを装着してもらうことでリアルタイムのバーチャル観戦が提供できる。自動追尾によるドローン撮影も可能に。リアルタイムでクラウドにアップロード・解析処理されるので、そのフィードバックをもとにその場でコーチがプレーヤー指導に活用できる。

ZMP

自動運転を得意とするロボティクススタートアップの ZMP は、ラストワンマイルの人手不足を解決する宅配ロボット「CarriRo Deli」と、歩行困難者を運んでくれる「RoboCar Walk」という2つのロボットを紹介した。CarriRo Deli は、最大積載量50kgまでの荷物を運べるロボットで、受取人は QR コードの提示でロボットの荷物入れを解錠できる。現在、日本郵便、「配達の民族(배달의민족)」を運営する Woowa Brothers(우아한형제들)、ローソンと PoC を実施中。また、RoboCar Walk は、高齢者や歩行困難者を出発ゲートまで送り届ける PoC を成田空港を実施中。

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HoloAsh

HoloAsh は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)障害を持つ人がキャラクタとの会話を通じて自己肯定感が上がることを狙う「モチベーション・インタビューイング」あるいは「セラピューティックコミュニケーション」と表現されるアプローチをとるソリューション。同社は認知科学に基づいたホログラフィックインタフェイス「Holoash」の開発を進めているが、その一つ手前のステップとして、キャラクタとのやりとりのみをメッセンジャーを使って行えるアプリ「Nao.(ナオ)」を iOS と Android 用にローンチしている。

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MAMORIO

MAMORIO は、クラウドトラッキングも可能な忘れ物防止タグを開発。認知症患者の徘徊把握、ペットの迷子防止などにも応用可能だ。シール型の MAMORIO FUDA、既存製品で埋込型で提供される MAMORIO Inside なども提供している。最近、ソフトウェアアップデートで実現できる、室内でどのあたりに対象物が落ちているかを示す AR を使った機能もリリースした。

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Mira Robotics

Mira Robotics は、遠隔で制御しながら多岐にわたる家事をこなせる「ugo(ユーゴー)」という対話型ロボットを開発している。サービス条件に従って訓練を受けたオペレータが遠隔でモバイルマニピュレータを操作、ロボットに作業を学習させることができる。生産人口が減少するにつれ、特にビルメンテナンスや清掃業務の人手不足が指摘されている。Mira Robotics では、東京都内のビルを中心に、ロボット+オペレータによる清掃サービスとしてしていく。今年3月に大阪で開催された Monozukuri Hardware Cup 2019 のファイナリスト。

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