火曜日の午後4時頃、WeChat(微信)のニュースフィード記事「モーメント(朋友圈)」にピンボケの画像が出現した。ピンボケ画像をクリックすると元画像の一部が表示され、「元画像をチェックするにはWeChatのオンライン決済システムに入金して画像の持ち主に赤い封筒(紅包)を送りましょう。送信されなければ画像はピンボケのままです」というメッセージがユーザ向けに表示された。
およそ4時間後にこのキャンペーンは終了した。Tencent(騰訊)のテックニュースプラットフォームによれば、このフォトキャンペーンは試験的に行っただけだという。
WeChat を所有する Tencent は、次のようにコメントしている。
ベータテストで期待通りの成果を得られたため、キャンペーンは終了しました。再度紅包フォトキャンペーンを楽しみたい方のために、旧正月の前夜にもう一度行う予定です。
デジタル版「紅包」(「幸運を運ぶお金」ともいう)は、WeChat やAlibaba(阿里巴巴)が母体のAlipay(支付宝)上などでユーザがオンライン決済システムを利用して金銭を送受できるものだ。従来、紅包というのは中国で主に旧正月の時期に贈るお年玉のようなものに使われていた。
旧正月の時期に「紅包」を利用して販売キャンペーンを行うことは過去にもあった。2015年、Tencentは CCTV(中国中央電視台)で毎年旧正月の前夜に放送される人気テレビ番組 Spring Festival Gala(春節連歓晩会)の放送中に「紅包」キャンペーンをローンチした。同番組が放送中のある時間にWeChat Shakeを利用したラッキーなユーザには金一封や電子クーポンが入った「紅包」が贈られた。その同じ年には Alipay が6億元(約9,100万米ドル)を「お年玉」としてユーザに現金または電子クーポンで贈った。
この「紅包」は競合する大手テック企業2社の争点となっており、どちらもユーザをライバル社の決済システムから引き離そうとしている。昨日Tencentがローンチしたような「紅包」キャンペーンを行うことで、ユーザを自社の決済システムに呼び込むことができ、話題作りにもなる。
Alexis Bonhomme 氏は、日本で正月の風物詩となっている福袋について言及した。
このキャンペーンは日本の福袋に少し似ています。自分にとって未知のものにお金を払うのです。
同氏は Groupon Tencent China を退社後、世界中のブランドや代理店向けのソーシャルCRMを提供しているデジタル・テック系企業 Curiosity China のゼネラルマネージャーを務めている。
WeChatには6億5,000万ものアクティブユーザがいます。その80%がWeChatの決済システムを利用すると想像してみてください。Tencent にとっては重要な資産になります。Alipay と競合するならなおさらのことです。
Tencent のテックニュースサイトによれば、中国の旧正月前夜にローンチ予定の「紅包」はさらに楽しいインタラクティブ型になるという。同社はユーザに対し、「数億元を逃さぬように」WeChat を最新バージョンにアップグレードすることを勧めている。
春節が近づくにつれ、Alibabaなどの大手テック企業らがどのように対抗し独自のキャンペーンをローンチするかに注目だ。今年の春節、「紅包」戦争の火ぶたが切って落とされたのだ。
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