変動を続ける決済市場ーーアジア地域のモバイル決済エコシステムを担うプレイヤーたち

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昨日、Coineyのオープン化宣言についての記事を掲載した。簡単に決済機能を導入できる開発者向けのSDKを提供し、プラットフォーム化を目指していく。モバイルペイメント周辺の動きがにわかに盛り上がってきている。

少し前に、WiredにSquareが出す新しいiPadと組み合わせて利用するPOS端末「Square Stand」についての記事が掲載された。Square Standはクレジットカードリーダーを内蔵し、レシートのプリンターやキャッシュドロアーなどの端末とも接続可能となっている。店舗がこの端末を導入すれば、顧客の識別が可能になりオンラインストア同様、実店舗で顧客の購買行動を追跡・分析も可能になる。

square stand

ビジネスメディア誠には、PayPal Hereが宅配ビジネスに用いられていることが紹介された。固定の店舗でなくとも、金銭のやり取りが行われる場面でクレジットカードの利用が可能になり、決済の簡略化、顧客の購買行動の追跡、分析も可能になる。

これらの動きは、まさしく以前Sd Japanがゼウスの代表取締役、地引一由氏にインタビューを行い、紹介した予測に近いものだ。

「決済ビジネスは新時代に入る」ーー国内ネット決済が次にみる夢は「O2O」と「ロングテール」

大小含め、世界中で様々なプレイヤーがこのデジタル、モバイルの決済において一歩リードしようとしのぎを削っている。Coineyの発表に、Squareの創業者、ジャック・ドーシー氏が来日し開催されるイベントを今夜に控え、ますます注目が集まるモバイルペイメントのアジアにおけるプレイヤーを、まとめて振り返ってみたいと思う。

Coiney

coiney

まずは日本のスタートアップが提供する Coiney から。冒頭でも紹介したように、Coieny は最近オープン化ついて発表した。地方での利用も進んでおり、先日もCoiney加盟店となる宮古島の電気屋さんがお客さんに商品を届けた際、そこでCoineyを使って決済が行われたそうだ。

スマートフォン決済サービス「Coiney」が国内決済市場を変革する方法モバイルペイメントのCoineyが突然のオープン化宣言ーー「決済周りの各種サービスと連携して」早期に開始とコメントモバイルペイメントのCoiney地方を攻めるーー宮古島の電気店がCoineyでエアコンを売る

Square

square

Squareは、スマートフォンにアプリをインストールし、イヤフォンジャックに小さな読み取り端末を接続することで、カード決済を可能にするサービスだ。Twitterの創業者のJack Dorsey氏が創業した。

Squareの端末は無料。北米ですでに300万個普及しているという。収益は決済手数料から得ており、年間の決済処理額は昨年の11月の時点で100億ドルに達している。

本日日本語版サイトがローンチされた。

Paypal Here

paypal here

オンライン決済サービスをリードするPaypalが提供している携帯端末を対象としたグローバル決済ソリューションがPayPal Here。米国、カナダ、豪州、香港などの地域でサービスの提供が行われている。

日本においてはPayPalがソフトバンクと提携しており、全国のソフトバンクショップで端末の購入が可能となっている。

PayPalがスマートフォン用カードリーダーによるモバイル決済を広げ、アジアでの成長を目論む

楽天スマートペイ

rakuten smartpay

日本の大手IT企業、楽天もモバイル決済システム「楽天スマートペイ」を提供している。登録の申込には加盟店の審査が必要で、免許証などの本人確認資料。登録とアプリは無料だが、カードリーダーを手に入れるんは2980円を支払う必要がある。

入金サイクルが最短翌日と早いのが特徴のひとつ。

MasterPass

masterpass

今年の3月、MasterCardは新たな決済システム「MasterPass」を発表した。

MasterPassとは、PayPass Wallet Servicesをアップグレードしたものである。この新しいサービスによって、NFC(モバイルペイメント)、QRコード、一般的なオンラインを経た支払いの記録を統合することができる。

MasterCardがPCとモバイルでクレジットカードによるオンライン決済を可能にする「MasterPass」を提供開始

Swiff

swiff

シンガポール生まれのSwiffは、Squareと同じようなモバイル決済サービス。Swiffの生みの親は、約10年にわたって決済ビジネスを行ってきたSCCPという決済処理・ソリューション会社だ。

このモバイルカードリーダーは、iOSとAndroid のスマートフォンやタブレットで利用できる。Squareが中小企業や個人事業主を含む誰もが利用できるサービスである一方、Swiff は認証された企業アカウントだけに特化している点で違いがある。

シンガポールのSwiffは、Squareライクなモバイル決済を企業向けに提供新たなSquare系決済サービス「Swiff」がアジアで正式ローンチフィリピン銀行がSwiffと提携、スマートフォンとタブレットのPOSシステムを提供

中国の決済サービスAlipay(支付宝)

中国において、登録アカウント数が7億人となりPaypalを凌ぐ勢いという「Alipay」もSquareに似た決済デバイスの開発に投資を行なっている。

・中国の決済サービス「Alipay」がSquareに似た決済デバイスの開発に7900万米ドルを投資

その他、アジア圏におけるモバイルペイメントプレイヤー

その他クレジットカード会社の大手Visaもモバイル決済のためのデバイスを開発し、サービスを提供している。また、アジアのeコマース企業では、宅配時にクレジットカードで支払いができる“カードオンデリバリー”が行われている。

インドの宅配時にクレジットカードで支払いができる「MyGrahak」、インドネシアのオンライン決済サービス「UNIK」、インドネシアの決済プラットフォーム「INDOMOG」、インドネシアの2大銀行がそれぞれ取り組む決済ソリューションなど、他にもいくつか例が挙げられる。

PaypalやAlibabaの「Alipay」など、アジア圏に続々と登場するオンライン&スマートフォン決済サービスまとめVisaがプラグアンドプレイのモバイル決済プラットフォームをローンチインド発のカード支払いサービスがローンチ−Squareを含むカード決済の盛り上がり中国Yeahka(楽刷)が米Squareのようなモバイル決済サービスを他に先がけて一般提供開始99Bill(快銭)がSquareライクなモバイル決済ソリューションのKuaishua(快刷)を発表

モバイルの普及が進んでいるアジアでは、モバイルでの決済が可能になることによる経済的な影響は大きい。クレジットカード決済が普及することで得られるデータがもたらす影響も大きいだろう。

ますます動きが激しくなってきているこの領域からは目が離せない。

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