TSUTAYA を展開するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は今日、傘下のベンチャーキャピタルである IMJ Investment Partners と共同で、スタートアップ育成支援プログラム「T-Venture Program」第2期の最終公開審査会を開催した。
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審査会では二次審査を通過した10チームがファイナリストとして 登壇した。価値創造、成長性、ブランディングなど4つの要素について、の審査員が採点し、入賞スタートアップ4社が選ばれた。
このプログラムでは、通常のインキュベーション・プログラムなどと異なり、運営主体である CCC とのシナジーが見出せるか、コラボレーション内容を提案できるかどうかも審査の上での重要ポイントとされている。
審査員を務めたのは、
- 増田宗昭氏 カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEO
- 石田宏樹氏 カルチュア・コンビニエンス・クラブ 取締役 CIO
- 北村和彦氏 CCCマーケティング 取締役副社長
- 中西一雄氏 T-MEDIAホールディングス 代表取締役社長
- 堀口雄二氏 IMJ Investment Partners 代表取締役社長
- 吉村 毅氏 デジタルハリウッド 代表取締役社長兼CEO
- 小林りん氏 インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 代表理事
- 佐々木紀彦氏 ニューズピックス 取締役
- 孫 泰蔵氏 Mistletoe 代表取締役社長兼CEO
…以上9名の方々だ。増田氏は審査委員長を務めた。
入賞した以下のスタートアップは今後、T-SITE とのテスト連携を含む「T-Venture Program」の第2フェーズ(Incubation2)に参加する。
最優秀賞:ストリートアカデミー(副賞:Tポイント30万円分、カドーの空気清浄機と加湿器)
ストリートアカデミーは、誰もが先生になれるスキル・マーケットプレイス。先生と生徒をつなぐことに特化しており、オフラインでの学習機会の創造を行っている。スキル提供を行う業界には、レストラン業界における食べログに代表されるような評価サイトが存在しない。そこで、創業者の藤本崇氏は、先生がどれだけ教えたか、その生徒の口コミがわかる機能を構築した。街中で気軽に学べる環境を提供していくことが狙い。
2012年8月のローンチ以降、講師3,500人、提供サービス内容は100ジャンル4,000講座にまで増え、カフェで会計士が会計を教えたり、初心者向けのバック転講座が開催されるなど、全需要の25%は東京以外の地域でサービスが提供されている。
偶然にも最近、ストリートアカデミーでは、福岡にある Tsutaya Bookstore Tenjin とタイアップし、ストリートアカデミーでの活動をきっかけに著書を出した講師を同書店に派遣。来訪客に公開講座を提供し、著者の店頭販売にも貢献するイベントを開催した。CCC との提携を通じ、学びのきっかけとなる講座をオンラインで予約受付し、TSUTAYA で講座を開くなどして CCC の商業施設への来店誘引を実施したいとのことだ。
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優秀賞:ジーンクエスト(副賞:Tポイント10万円分)
ジーンクエストは東京大学の研究者らを中心に2013年に設立された遺伝子分析スタートアップ。オーダーすると送られてくる唾液採取セットを使って唾液を採取し郵送すると、遺伝子を解析し先天的な病気の発症リスクや体質など300項目を判定できる。
CCC との協業可能性では、Tポイント会員5,500万人のうち1%に相当する55万人をジーンクエストの顧客として獲得し、購買情報に加えて、遺伝的健康情報を組み合わせることで、より有益なマーケティングが行える可能性を強調。遺伝子情報プラットフォームをベースに、将来的には製薬会社のR&D などに利用してもらえる可能性がある。
今後のビジネスの可能性は未知数とのことだが、遺伝子情報のパターンは人種により異なるため、欧米の同業スタートアップが欧米人の遺伝子情報をもとにした疾病の傾向解析などに強いのに対し、ジーンクエストは日本人をはじめとする東洋人あるいは黄色系人種の解析に強みを見出しているようだ。
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優秀賞:ファクトリエ(副賞:Tポイント10万円分)
ファクトリエはこれまでに3年をかけて、日本中にある縫製工場480工場と提携し、海外の有名ブランドが縫製を委託しているのと同じ工場で、安価で高品位なファッション・アイテムを生産できる体制を整えた。消費者と縫製工場をつなぐことにより中間コストをカット、工場にとっては受注が増え、自社の名前を露出した商品の販売が可能になる。
エルメスジャポンの社長を務めた齋藤峰明氏がアドバイザーとして参画。2ヶ月前に始めた海外向けサービスのスタートにより、世界130カ国からアクセスがもたらされているとのこと。今後、2020年の東京オリンピックで、日本チームのユニフォームをファクトリエで受注することを目標にしている。
CCC とのコラボレーションのアイデアとしては、 T-SITE 店頭でライフスタイル提案の一環で書籍などとあわせて洋服を販売するほか、顧客が購入した商品の縫製工場を実際に現地訪問体験できるツアーの企画などを挙げた。
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あにこれ(TSUTAYA 賞)
月間1,300万PV、230万UUを誇るアニメ評価ランキングサイト「あにこれ」。ローンチからの5年間で、アニメに対するレビュー件数総数が135万件を超えている。
アニメを趣味としている人には、ほとんどリーチできていることを自負するも、アニメが好きでもネットでアニメを探さない人や、海外のアニメファンにはリーチできていないことを認識。
あにこれの35,000種類におよぶユーザが生成したランキングなどを活用することで、TSUTAYA の店頭で多様なランキング別レンタルビデオ特集などが企画できる。海外展開については、国ごとに反応を見ながら段階的に行っていくとのことだったが、審査員の孫氏からは、まずはサイトの英語版をローンチすることを促されていた。
以下は入賞には至らなかったものの、ファイナリストとして雄姿を飾ったスタートアップたちだ。
clubFm(クラブエフマイナー)
「clubFm(クラブエフマイナー)」は、国内の有力ギャラリーから月額4,800円で絵画がレンタルできるサービス。これまで絵画が飾られることが稀だった住居やオフィスでの新規需要開拓を目的としており、サイト上では、観葉植物などとあわせて、部屋の中に絵画を飾った際のシミュレーションができる機能を提供している。2015年9月現在1,200商品の提供が可能で、国内の有力ギャラリー70%と提携しており、今後、このシェアを90%と上げることが目標。
CCC との提携により、T-SITE 訪問客や Tポイント会員を中心にアートのあるライフスタイルを普及させたいとしている。
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ボイスマルシェ
「ボイスマルシェ」は、会員とカウンセラーの両方が女性のみの、電話による匿名カウンセリング・プラットフォーム。身近な人にも相談できないことを、経験豊かなカウンセラーに55分間12,000円で相談できる。現在登録しているカウンセラーは368名いて全員面接済み。ユーザ満足度の高さは、ボイスマルシェ上に投稿された1,543件におよぶユーザ体験談の投稿からも伺いしることができる。
CCC との提携では、同社の MVNO 端末である「TONE モバイル」にアプリとしてプリインストールすることを提案。グループ会社が運営する「ふるさとスマホ」ともタイアップし、特に高齢ユーザへも裾野を広げたいと語った。
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eichiii
「eichiii」は、都内800箇所にオンデマンドのミーティング・スペースを提供するサービス。その多くは、夕方までは客がいないダイニングバーや、アイドリングタイムのあるコワーキング・スペースなど。デッドタイムを貸し出すことで、店舗にとっては追加収入を得ることができる。
T-SITE のオンラインサイトに eichiii を掲載してもらうことで連携を図るとともに、eichiii がミーティング・スペースで開催可能なイベントやセミナーなどを企画し、T-SITE で集客するプランを提案。また、Tポイントやクーポンとの連携も模索していたいとのこと。
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wellnote
「wellnote」は家族限定SNS。親子以外にも、孫〜祖父母で日常や成長を共有する機能を持っている。アカチャンホンボや学研などと提携により、これらの企業が提供する離乳食レシピや生活情報を配信しているが、CCC との提携が実現すれば、例えば、孫向け絵本やファミリー向け映画のレコメンド、子供向けイベントのレコメンドなどが可能だろうと、CCC にラブコールを送っていた。
先ごろ、日本テレビの番組「ZIP!」とタイアップし、子供にダンスを教えるクリエイティブ教育プログラムを企画。教育学者で東京大学名誉教授の佐藤学氏らの協力も得て、通年のクリエイティブ教育プログラムを作る準備に着手している。
Sensy
今までに無い出会いを提供する、ファッション向けパーソナル人工知能プラットフォーム「Sensy」。パーソナルという名の通り、個々人にカスタマイズされた人工知能環境を提供する。IBM Watson の日本国内第一号案件として選抜されたスタートアップ。
現在12,000以上のブランドが Sensy に参加しており、例えば、三越伊勢丹では接客アプリに Sensy を採用し、訪問客がメールアドレスで自分の人工知能を呼び出し、自分にあった洋服の提案を受けることができる。また、三越伊勢丹のトップバイヤーの人工知能を呼び出し、彼らのコーディネイト・センスをアプリを通じて教わることもできる。
CCC との提携を通じて、パーソナル人工知能を搭載したポイントカードを作りたいとのこと。
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Pratechs
一般的にカルテに代表される医療情報は、医師の手元などにあって、患者自らの身近にあることは少ない。Pratechs は、ユーザが日常のバイタルデータを自らの手元に持ち、サードパーティーに公開することで必要なサポートが得られるヘルスケア環境を提案する。サービスは、個人用アプリの「HEALTHPLAYER」、計測ステーション、事業者用管理画面から構成される。
具体的には調剤薬局での CRM(顧客管理)などへの応用が可能。CCC との提携により、ユーザがバイタルデータを記録するモチベーションとしてTポイントやクーポンを提供し、来店することで賞品に引き換えできるようなしくみが考えられる。また、自治体とのタイアップにより、ふるさとスマホと連携して、高齢者の健康管理や見守りにも応用可能とのこと。
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