
デジタルアシスタントアプリ、デジタルコンシェルジュ、会話型コマース。呼び方はどうであれ、2016年はこのトレンドが大きく飛躍する年になる可能性がある。
この分野で、あるスタートアップが資金調達に成功している。マレーシアの Belazee は、日本のモバイルゲーム企業 DeNA とアメリカの投資会社 Fenox Venture Capital から共同出資を受け、プレシリーズAラウンドを終了したと発表した。スタートアップインキュベータの Rimu Group も同ラウンドに参加している。出資額等の正確な情報は明らかにされていない。
同社は当初、SMS のみのサービスとしてスタートし、どんなリクエストでも受け付けていた。これは、シリコンバレーのスタートアップ企業で、Sequoia から1,200万米ドルの出資を受けた Magic とまさに同様のサービスである。しかし、そこから同社はeコマースストアとインフラを構築して「会話ベースのコマースプラットフォーム」へと進化した。
では、会話型コマースとは正確には何なのだろうか? 筆者らはこれを「チャットコマース」と呼びたい。読者におかれては、話しかけることができるeコマースを想像していただきたい。言い換えれば、オンラインショップで商品を買うのに何度もクリックする代わりに、アプリでチャットすることで商品を玄関に届けてもらえるのである。このサービスは中国の WeChat(微信)が始めたばかりで、Facebookも挑戦しようとしているところである。
マレーシアでは、Belazee(同国ではBe Malasと呼ばれている)は、チャットで買い物するオプションをSMS、ウェブ、Facebookを介してユーザに提供している。もしクリックするスタイルが好きなのであれば、それも可能である。Belazee はまたWorksというサービスも提供しており、販売者はサブスクリプションベースでeコマース業務を同社にアウトソースすることができる。
同社はシンガポール、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、オーストラリアにビジネスを拡張しているが、これらの国ではすべてのサービスが利用可能というわけではないようだ。
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魔法(Magic)ではない
Belazee は急速に成長しているようだ。現時点で毎月3万件のリクエストを処理しており、2ヶ月前の2万件から大きく伸びている。そのうちおよそ60%が売り上げに結びついている。また、2016年第1四半期までに国内向けにモバイルアプリのリリースを目指している。
東南アジアでは、Magicのモデルを真似ようと多くの試みがなされてきたが、それらはどうやら準備不足であったようだ。筆者がスターウォーズのチケットを予約しようとしたところ、うまくいかなかった。このビジネスモデルを技術的に厳しいハードルを克服して成功させることができるかは、予想するのが難しい。
Magic でさえ方向転換している。同社は最近、大衆向けサービスから、1時間あたり100米ドルをチャージして、有り余るお金を持っているが時間がない顧客層に向けたニッチなサービスに移行している。
Belazee はこのようなビジネスモデルがアジアではうまくいかないことを早期に認識し、水面下で自社のビジネスを変えてきた。その先見の明はどうやら実を結びつつあるようだ。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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