教師の低給与・高生活コスト問題に挑むLandedーー解決方法は「AI × 住宅証券」

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2019.4.20

ピックアップ: Landed raises $7.5M million Series A to help teachers buy homes

ニュースサマリー : 都市部に住む教職員向け住宅ローンサービスを提供する「Landed」がシリーズAで750万ドルの資金調達したことを発表。勤務先学校近くの住宅購入をする教員に頭金5〜10万ドルを提供するサービスを提供する。

Landedの頭金は返済義務のあるローンの形ではなく住宅売却益のうち最大25%をLanded側が所有する利益オーナーシップ分配契約。たとえば購入から数年後に物件を売買する話になり不動産価値が10万ドル上がっていた場合、2.5万ドルの利益が確定するビジネスモデル。

最大の特徴は損失益も肩代わりする点。仮に10万ドルの売却損が確定してしまった場合、頭金から2.5万ドルが差し引かれる計算になる。顧客は将来の不動産価値に応じてLandedのリターン額が柔軟に変化するため、金銭負担が発生するリスクを極力減らすことができる。

教職員の給与は依然として低く、かつ都市部となると生活コストが年々と上がっている都市部特有の課題を解決するサービス。教職員から展開を始め、専門職向けにファイナンシャル・セーフティネットワーク構築を目指す。

2年前、Facebookの創業者であるZuckerberg夫妻が立ち上げた教育特化ファンドから資金調達をしている。また、著名アクセレータYCombinatorの2016年冬のプログラムを卒業している。

話題のポイント : Landedのサービスから考えられる新たなビジネスモデルに「AI ×不動産証券」が挙げられるでしょう。

数年後に確定する住宅売却益を周辺の地価上昇率データからAIが予測。利益が期待される物件を購入したい教職員と機関投資家とマッチングさせ頭金を集金。最大10万ドル分の頭金を証券化させ投資家に分配すれば、Landed側が多額の初期投資を費やすリスクがなくなる構造です。

上記のように頭金の支払いに機関投資家を絡ませた住宅購入サービスを展開するスタートアップが「Loftium」です。

同社は頭金最大5万ドルを機関投資家から獲得。顧客は購入物件の数部屋を2-3年間Airbnbに掲載させ、民泊サービスで得た利益を投資家へ分配する契約を結びます。民泊サービスの利益はAIを活用した需要予測によって計算できるため一定のリターンは期待できます。

AIを活用することでリスクヘッジを図れます。加えて証券化することで効率的に住宅購入資金の調達を効率的に行えるはずでしょう。教育機関はこうしたコンセプトを取り入れることでHRやCSRの観点から大きなメリットを得られると感じます。

教育機関がLandedやLoftiumに代表される不動産スタートアップと提携することで、頭金肩代わりを福利厚生として掲げられ、積極的な職員採用に動けるかもしれません。現在日本でも社会問題になっている保育士さんや小学校教職員の低給与問題を解決する取っ掛かりになるはずだと感じます。

サンフランシスコと比べて依然東京の物価は比較的安い方ですが、都市一極集中が進めば家賃高騰を筆頭に生活コストが上がるのは必至。こうした市場トレンドを予測して教職員に特化した不動産フィンテックサービスは日本でも十分に望まれるでしょう。

先日紹介した「Unmortgage」や「Divvy Homes」に代表されるように、欧米では不動産購入資金の頭金に注目したスタートアップが多数登場しています。

海外の不動産テックトレンドを汲んだLandedがシリーズAまで成長する流れは自然のように思えます。同社は教職員向けに特化していますが今後は一般企業の従業員向けに同様のサービスを外販する企業が登場するかもしれません。

Image Credit: Christian Flores

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