さて、国内プレーヤーによって一通りこうした市場の〝地ならし〟が終わった頃に、海外プレーヤーが殴り込みをかけてきた場合、国内プレーヤーは、「なんかづるい」とか「いいとこ取り」みたいな印象は持たないのかな、という疑問です。マーケットアクセスは誰に対してもオープンなものであるべきなので、国内プレーヤーは先行者利得か、地元民ならではのノウハウで逃げ切るしかないのかもしれません。commmune CEO の高田優哉氏が言っていた、黒船に襲来される前に世界を攻めることの重要性を考えさせられます。
さて、年の初めということもあってか、今月は月初から新ファンドの組成や資金調達クローズが相次いでいますが、今週は特に若手の投資家や起業家が旗を振るファンドの発表が相次ぎました。日本の Web3 起業家7人により、シンガポールベースで設立されたファンド「Next Web Capital(略称:NeW)」。日本から世界に出張る Web3 スタートアップが数少ない中、後進の起業家を育てるべく奮闘します。また、今までに無かった研究者に寄り添って起業家へと育てるファンド「HERO Impact Capital」も楽しみです。
シードファンドの運営は手間がかかりますし、確率論から言って、シード投資家にとっての投資先の多くは、イグジットまで到達できないか、期待した通りのシナリオを歩むとは限りません。それでも、さらなる起業の可能性を掘り起こそうと、彼らは起業家予備軍やシードよりもアーリーなステージに投資の機会を見出すようになっています。Sequoia Capital は償還期限が事実上無制限になる Evergreen Fund のようなスキームを採用しましたが、保守的だったファンドの世界にもイノベーションの風が吹くかもしれません。
TechCrunch Japan が終わるとのこと。スタートはアメリカの本家が産声を上げた次の年の2006年。TechCrunch の旗艦イベント「TechCrunch 40 や 50(40社、または、50社がピッチするのでこの名前がつきました)」には初回からお邪魔しましたし、TechCrunch の本家や Japan の編集部の皆様とも仲良くさせていただいたので、いろいろ思いは尽きることはありません。TechCrunch Japan は本家の翻訳記事が多かったですが、15年の月を経て、一つの役目を終えられた気がしてなりません。
一つには人材の多様化。欧米のスタートアップシーンの動きを直接見る起業家も増えましたし、ミレニアルや Z 世代、特に Web3 のビジネスをやっている人たちは恒常的に英語を話します。日本から世界に出ていくスタートアップはまだ限られますが、翻訳を必要とされる機会は、以前より少なくなったのかもしれません。広告収入を中心としたビジネスモデルは、世界的にも随分と前から破綻していて、メディアは新たな活路の開拓に迫れています。Decrypto のようなトークンモデルも一つの解かもしれません。
そして、バーチャルイベントプラットフォーム「EventX」の CEO が、コロナ禍のイベント業界の変貌について考察を書いていました。この2年余りで、スタートアップシーンも大きく変わりました。前出の TechCrunch にせよ、収入の幾分かはイベントに依存していたでしょうから、リアルイベントが開催できなくなった分、バランスシートへの影響は小さなものではなかったでしょう。プレゼンテーションはオンラインでも可能ですが、偶然かつ必然の新しい出会いをどのように早出するかが今でも大きな課題です。
一方、ファンドの組成やクローズも複数発表されました。上場を果たしたスタートアップが、後進のスタートアップに投資するケースはよくありますが、その多くは、後進を育てたり、自社事業とのシナジーを追求したりすることを意図したものでした。マネーフォワード(実際には、子会社のマネーフォワードベンチャーパートナーズ)が GP となり、広く LP を募って HIRAC FUND を組成したのは興味深い動きでしたが、ココナラの新ファンドも、協調投資のみで他社からも出資を募るという点では面白いかもしれません。
置き社食「OFFICE DE YASAI」運営のKOMPEITO、シリーズCで13億円を調達——地方拡大を加速へ(3月3日)
「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を運営する KOMPEITO は日、シリーズ C ラウンドで約13億円を調達したと発表した。このラウンドは、ニッセイ・キャピタル、インキュべイトファンド、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツがリードし、ニッセイ・キャピタル、DD ホールディングスベンチャーキャピタル、中国銀行、京銀リース・キャピタル、とっとりキャピタル、NOBUNAGA キャピタルビレッジが参加した。
Meety は、直近のラウンドで1.9億円を調達したことを明らかにした。プレシリーズ A ラウンド相当とみられる。このラウンドは HIRAC FUND がリードし、ANOBAKA と XTech Ventures が参加した。XTech Ventures は2019年11月のシードラウンドに続くフォローオン。
ウェルネス業界向けSaaS「hacomono」運営、20億円をシリーズB調達——THE FUND、Coral Capital、ALL STAR SAAS FUNDから(3月2日)
hacomono は、シリーズ B ラウンドで20億円を調達したと発表した。このラウンドは THE FUND(シニフィアンとみずほキャピタルが共同で運営)がリードし、Coral Capital と BEENEXT の ALL STAR SAAS FUND が参加した。ALL STARS FUND は、hacomono(当時の社名は、まちいろ)のシードラウンド、シリーズ A ラウンドに続く出資。
グリラスは、約2.9億円を調達したと発表した。同社にとっては、2020年12月に実施したシリーズ A ラウンドに続くものであるため、ポストシリーズ A ラウンド相当と見られる。参加したのは、Beyond Next Ventures、HOXIN、産学連携キャピタル(阿波銀行らが支援)、いよぎんキャピタル、近鉄ベンチャーパートナーズ、食の未来ファンド(kemuri venturesによる運営)、地域とトモニファンド(徳島大正銀行、香川銀行、フューチャーベンチャーキャピタルによる運営)。
エーテンラボ(A10 Lab)は28日シリーズ A ラウンドで3.7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ファストトラックイニシアティブ(FTI)、みずほキャピタルなど。同社にとっては、創業直後の2017年2月に実施した6,600万円の調達、2020年2月に実施した投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」による5,920万円の調達に続くものだ。
AMI は、日清紡ホールディングス(東証:3105)と資本業務提携を締結し、 1.5億円を資金調達したと発表した。同社にとっては、2018年8月の調達(調達額非開示)、2019年1月の約1億円、2020年4月の4.9億円、2020年5月の3,000万円に続く調達。今回の調達により、累積調達額は明らかになっているものだけで7.7億円を超えた。
与信プラットフォーム「Credit as a Service」を展開するCrezit、6.5億円をプレシリーズA調達(2月28日)
Crezit Holdings は、プレシリーズ A ラウンドで6.5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、デライト・ベンチャーズ、Spiral Capital、千葉道場ファンド。これは、同社にとって、2019年4月に実施したプレシードラウンド(約7,000万円を調達)、2021年2月に実施したプレシリーズ A1 ラウンド(約3,500万円を調達)などに続くものだ。今回の調達を受けて、これまでの累計調達額は約9.2億円に達した。
完全栄養食を開発・提供するBASE FOOD、「THE FUND」から10億円を調達(2月28日)
パン・パスタ・クッキーの形態で完全栄養食を提供する BASE FOOD は、グロースキャピタル「THE FUND(シニフィアンとみずほキャピタルが運営)」から10億円を調達したと発表した。これは同社にとって、2017年10月に実施したシードラウンド(1億円を調達)、2019年5月に実施したシリーズ A ラウンド(4億円を調達)に続くものだ。
Micoworks は、シリーズ A ラウンドで約12億円を調達したと発表した。このラウンドには、ALL STAR SAAS FUND と Eight Roads Ventures Japan が参加した。Micoworks にとっては、2021年2月と9月の調達に続くものだ。累積調達額は約20億円に達した。
HOKUTO は、シリーズ A ラウンドで8.25億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、グローバル・ブレイン、ジェネシア・ベンチャーズ、グリーベンチャーズ、East Ventures、個人投資家として田中良和氏(グリー創業者兼代表取締役社長)ほか。ジェネシア・ベンチャーズは前回ラウンドに続くフォローオン。累積調達額は11.25億円に達した。
「Pace」を展開する Pace Enterprise は、Pace Enterprise Japan を設立し日本市場に参入したことを明らかにした。同社は、昨年11月末にクローズしたシリーズ A ラウンド(4,000万米ドル)で丸紅ベンチャーズから出資を受けている。日本では、年内に1,000以上の販売事業者の参画と10万人以上のユーザ獲得を目指すとしている。
半導体設計プラットフォーム「Semi Five(세미파이브)」が1,300億ウォン(約125億円)を調達した。SEMI FIVE の設計プラットフォームは半導体開発コスト・期間を半分以下に減らすことができると評価。Furiosa AI、Rebellions など国内 AI 半導体スタートアップが Semi Five プラットフォームベースで開発されている。
「ShopBack」が、事業拡大のために1億5,000万米ドルの資金調達に向けて複数の潜在投資家と交渉中であると、Bloomberg が関係者の話として報じた。この資金調達が成功すれば、ShopBack の時価総額が上昇し、ユニコーンになる可能性がある。シンガポールの政府系投資会社 Temasek Holdings の支援を受ける同社は、このラウンドで Morgan Stanley が協力していると、関係者は述べている。
「Zheli(啫喱)」は、中国のアプリストアで新参者としては驚異的な首位獲得を果たしたが。それからわずか3日後、同アプリのオーナーがさまざまな論争に対処するため、全国のアプリストアから撤去した。ゼリーを意味する Zheli は、ユーザが日常生活を友人と共有できる 3D アバターメーカーで、ユーザのおおよその位置とモード(学校、職場、ショッピングモールの近く)が表示されるようになっている。
Airmeet は、Prosus Ventures、Sistema、Sequoia Capital India、RingCentral Ventures がリードしたシリーズ B ラウンドで、3,500万米ドルを調達したと発表した。この資金調達により、同社の総資金調達額は5,000万米ドルを超えた。今回の資金調達により、同社は研究開発部門を拡大し、グローバル市場でのプレゼンスを強化することで成長を加速させる計画だ。
「Queenit(퀸잇)」がシリーズ B ラウンドで360億ウォン(約35億円)を調達した。2020年にローンチ、昨年100億ウォン(約9.6億円)を調達してから半年で新たな資金調達。累積調達額は515億ウォン(約50億円)。プラットフォーム掲載ブランド数は700以上、ダウンロード件数は370万件、月間取扱高は100億ウォン(約9.6億円)を突破している。
フィットネスクラブ・公共運動施設・スクールなどウェルネス産業向けの会員管理・予約・決済 SaaS「hacomono」を開発・提供する hacomono は2日、シリーズ B ラウンドで20億円を調達したと発表した。このラウンドは THE FUND(シニフィアンとみずほキャピタルが共同で運営)がリードし、Coral Capital と BEENEXT の ALL STAR SAAS FUND が参加…
食用コオロギの品種改良・生産・販売などを行うグリラスは28日、約2.9億円を調達したと発表した。同社にとっては、2020年12月に実施したシリーズ A ラウンドに続くものであるため、ポストシリーズ A ラウンド相当と見られる。 参加したのは、Beyond Next Ventures、HOXIN、産学連携キャピタル(阿波銀行らが支援)、いよぎんキャピタル、近鉄ベンチャーパートナーズ、食の未来ファンド…
行動変容を促す習慣化アプリ「みんチャレ」を開発・提供するエーテンラボ(A10 Lab)は28日シリーズ A ラウンドで3.7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ファストトラックイニシアティブ(FTI)、みずほキャピタルなど。同社にとっては、創業直後の2017年2月に実施した6,600万円の調達、2020年2月に実施した投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」による…
鹿児島や熊本を拠点とするヘルスケアスタートアップ AMI は28日、日清紡ホールディングス(東証:3105)と資本業務提携を締結し、 1.5億円を資金調達したと発表した。同社にとっては、2018年8月の調達(調達額非開示)、2019年1月の約1億円、2020年4月の4.9億円、2020年5月の3,000万円に続く調達。今回の調達により、累積調達額は明らかになっているものだけで7.7億円を超えた。 …
与信プラットフォーム「Credit as a Service」を展開する Crezit Holdings は24日、プレシリーズ A ラウンドで6.5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、デライト・ベンチャーズ、Spiral Capital、千葉道場ファンド。これは、同社にとって、2019年4月に実施したプレシードラウンド(約7,000万円を調達)、2021年2月に実施したプレシリ…
パン・パスタ・クッキーの形態で完全栄養食を提供する BASE FOOD は24日、グロースキャピタル「THE FUND(シニフィアンとみずほキャピタルが運営)」から10億円を調達したと発表した。これは同社にとって、2017年10月に実施したシードラウンド(1億円を調達)、2019年5月に実施したシリーズ A ラウンド(4億円を調達)に続くものだ。 また、今回の調達とあわせて、三菱 UFJ 銀行、商…
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